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「東芝の人は上から目線で偉そうだった」青梅事業所の閉鎖、歓楽街や下請けから嘆きの声…

「東芝の人は上から目線で偉そうだった」

東芝青梅事業所 そもそも事業所閉鎖の原因は明白だ。昨年7月21日、田中久雄社長(当時)は会見を開き、「心よりおわび申し上げます」と謝罪したが、不正会計による利益のかさ上げは雪だるま式に肥大し、総額は2000億円規模に達していた。さらに、決定打となったのが米国子会社での原発事業失敗だ。甘い経営判断によるシナリオはもろくも崩れ去り、損害は7000億円とも1兆円超とも言われている。青梅市で東芝の下請けをしている経営者の男性(60代)に話を聞いた。 「東芝さんとの取引額は全体の15%くらいだったかな。それでも、事業所閉鎖は死活問題だったし、すぐに取引の割合を減らしたよ。なんとか最小限のダメージに抑えられたけど、ここらは東芝さんの下請け業者も多いし、100%依存していたせいで店を畳むところもあると聞く。どこもこれからやっていけないと嘆いているよ」  事業所撤退の影響を受けるのは関連企業だけではない、週末にもかかわらず閑散とした小作駅から青梅事業所までは国道沿いに15分ほど歩くが、その道中、やたら原色に彩られたフィリピンパブの看板や年季が入って古ぼけた居酒屋ののぼりが目に入るのだ。東芝ショックはこれらの歓楽街も直撃した。ここに店を構えて20年というスナックのママ、サチコさん(仮名・50代)はこう語る。 「昔は東芝の社員さんもよく来てくれましたけど、ここ2~3年は事業所自体から人が減って、もうめっきり。女のコのなかには『東芝の人は上から目線で偉そうだから』と言って、毛嫌いするコもいましたが、大事なお得意様でした。本来なら新しく入居する企業に期待したいところでしたが、事業所ではなく物流倉庫になると聞いて、ガッカリしています」 ⇒【写真】はコチラ https://nikkan-spa.jp/?attachment_id=1313793
テナント募集

小作駅から青梅事業所への道中には、郊外の景色には不釣り合いなほど大きな歓楽街がある。居酒屋やスナック、果ては風俗案内所まであったが、テナント募集物件や廃墟と化した建物も多かった

テナント募集 テナント募集 ついつい男の本性が出てしまう夜の店ならではの声を聞いてしまったが、その一方で、生まれも育ちも青梅市という不動産業者の女性は「小作駅周辺はここ最近、テナント募集の立て看板や空き物件が増えてきた」とため息をつく。 「今年に入って、一棟丸ごと社員寮に使っていた3階建てのマンションの解約を申し出てきたんです。事業所閉鎖の影響だと思いますが、突然だったので驚きました。他の東芝関連の寮もすでに退出済みです。次の入居者? まったく決まっていません。今なら家賃はお安くできると思うのですが……」  ところで、気になるのは青梅事業所の従業員たちのこれからの処遇だ。東芝の内部事情をよく知るOBは次のように語る。 「かつての東芝は白物家電やPCが主力事業の会社でしたが、今や利益のほとんどを半導体やエネルギー事業が稼ぎ出し、グループを支えている。ほかの国内事業所は閉鎖していないうえ、1兆円近い債務を抱えているにもかかわらず、わずか100億円で青梅事業所を売却したのも、もはやPC事業は分社化し、見切りをつけたからでしょう。青梅事業所の従業員は立川や豊洲の支社に分散される予定ですが、当然、厳しい処遇が待っていると思います」  東京ドーム2.5個分という広大な敷地には名門・東芝ラグビー部の練習場や、従業員クラブ「青和荘」など、かつて日本のモノづくりを支えた栄冠の面影が寂しげにまだ残っていた――。 ⇒【写真】はコチラ https://nikkan-spa.jp/?attachment_id=1313799
青和荘

東芝の従業員クラブ「青和荘」。コンサートやパーティ会場として愛されたが3月末で閉鎖

青和荘取材・文/永田明輝
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