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なぜ「自国愛を強調しすぎている人たち」に違和感を持ってしまうのか?

 森友学園や教育勅語の問題など昨今、自称“愛国者”たちが騒がしい。その言動は“健全なナショナリズム”の範疇を逸脱し、逆にこの国を歪めてはいまいか? この国の形を改めて考える――

声高に叫んだり、カネ儲けに使った瞬間、愛国心は偽善的なものとなる

津田正太郎氏

津田正太郎氏

 我が国で自国愛を強調しすぎている人たちを見掛けると、なぜ違和感を持ってしまうのだろうか。愛国心やナショナリズムに詳しい、法政大学の津田正太郎教授に聞いた。 「日本の場合は戦後から実態はともあれ、国民の多くが単一民族国家という意識になり、『日本人』と言っただけでどうしても排他的に聞こえてしまう面があります」  ナショナリズムには制度や規範を重視する「シヴィック・ナショナリズム」と血縁や民族的出自を重視する「エスニック・ナショナリズム」という考え方がある。前者の代表的な例としてアメリカ、後者の例に日本が挙げられる。  米国では民族の同質性よりも星条旗に忠誠を誓えるかどうかが重要視され、日本では同一民族であるかどうかが何よりも重要となる。 「ただ、日本だけでなく世界的な傾向として血縁や民族性が愛国心やナショナリズムと結びつき、ヘイトスピーチなどの排外主義運動に繋がるケースもあります。生まれや出自などエスニック的要素だけではなく、『日本人とは何か』を再定義することが今は必要になっているかもしれません」
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愛国心とナショナリズムにも肯定できる部分がある
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