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「筒井康隆の慰安婦像ツイート」大炎上に、在日韓国人たちの思いは…

森友学園や教育勅語の問題など昨今、自称“愛国者”たちが騒がしい。その言動は“健全なナショナリズム”の範疇を逸脱し、逆にこの国を歪めてはいまいか? この国の形を改めて考える――

筒井康隆の暴言に在日韓国人が大激怒

筒井康隆氏

筒井康隆氏

 『時をかける少女』などで知られる作家の筒井康隆氏が4月17日、「韓国の慰安婦像に射精してザーメンまみれにしよう」と公式ツイッターに投稿。瞬く間に炎上し、韓国本土では不買運動も起こったのは記憶に新しい。騒動後のインタビューで筒井氏は「韓国を侮辱するつもりはなく冗談だ」と弁解しているが、すでに後の祭りだ。 「筒井康隆のツイートはあまりにも侮辱的で、言葉すら出てきません。しかも後日、『ツイッター社が不表示にしたのに自分で抹消したと思われるのは嫌だとか、読み返すとなるほどこれはひどい』と投稿するなど見苦しいです」 ⇒【画像】はコチラ https://nikkan-spa.jp/?attachment_id=1326826
筒井氏が投稿した問題のツイート

筒井氏が投稿した問題のツイート(現在は削除)。数多のブラックユーモア作品を残した筒井氏だが、さすがに今回の一件は冗談にもならない

 そう呆れ気味に話すのは大阪在住の在日韓国人3世の男性(36歳)。昨今の差別問題には特に意識的になっているという。 「小学生のウチの娘が名札をしたまま自宅近くの公園で遊んでいたら、いきなり知らない男性に『朝鮮人のガキ、日本から出て行け!』と罵声を浴びせられたんです。身に危険を感じた娘はその場から走って逃げたので無事でしたが、もしも危害を加えられていたかと思うと背筋がゾッとします」  Aさんによれば、在日社会は「今までになく大きな不安に苛まれている」という。筒井氏の熱烈なファンからは「不謹慎な作風も前衛作家の創作の範疇」などと擁護する声も上がっているが、新宿・新大久保のコリアンタウンで韓国家庭料理店を経営する男性(40代)は「日韓関係は気持ちの問題」と話す。 「私たちは日本人に真心を見せてほしいだけなんです。それはお金とかじゃなくて、本当の謝罪の気持ち。例えば安倍さんがソウルにある少女像の前で献花するだけでも納得する韓国人も大勢いるはず。少女像はそれほど大事な存在なんです」  日韓合意や3か月間にも及ぶ駐韓大使の一時帰国など、少女像に対する安倍首相の態度は厳しい。それを見る限り、彼がそのような行動を起こすとはとても思えないが、この一件が日韓両国の新たな遺恨にならないことを祈りたい。 写真提供/時事 ― “愛国者”の暴走が止まらない ―
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