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乾貴士が語るサッカー日本代表の可能性。世界最高峰のリーグで得た確かな自信

後半に垣間見えた日本代表の可能性

「でもね、日本代表でもそれはできると思うんですよ」スペインのサッカー観についての話がひと段落したところで、乾は確信したような表情でそう話し始めた。 「今日の試合でいえば、圭佑くんが真ん中でボールを収めてくれるからそれだけで相手を押し込めたし、それによってサイドの自分もやりやすくなりました。僕が中に入った時は佑都くんが裏を狙ってくれて、そこのコンビネーションも良かったと思います。自分にとっても助かりましたし、チームとしてそういうプレーが出てくれば崩しやすくなると思いますね」  この日の日本代表は後半18分、MF今野泰幸を下げてFWの浅野拓磨を投入したタイミングで、それまで右FWとしてプレーしていた本田圭佑を右のインサイドハーフに移した。このポジションチェンジを機に連動したテンポの良いパス回しが生まれた。左利きの本田が中盤の右寄りでタメを作り、中を見ながらプレーすることで左FWの乾、左SBの長友らとスムーズなコンビネーションを見せた。本田がタメを作れるからこそ乾は良い状態で仕掛けられたし、その良い仕掛けがあるからこそ乾が中に入ったときは相手DFが警戒して食いつきやすくなった。乾が食いつかせたからこそ乾が元いた左奥のスペースが空いて、そこに長友が連動して走り込めたのだ。本田のインサイドハーフ自体は確かにはまっていたが、本田も受け手の乾のクオリティがあるからこそ輝けたと言えるはずだ。複数の選手が同じ画を見て意図的に連動できていたからこそ、後半は相手を押し込むことができたのだ。 「連動したサッカーはこのチームでも十分できると思うし、それが出てくれば日本代表は強いと思う」  レアル・マドリードやバルセロナといった世界のトップ・オブ・トップともいえるチームとリーガで対峙している乾の言葉だからこそ、その説得力はさらに大きくなる。 「今日はすごく楽しめましたけど、やはりしっかり勝たないと。楽しいだけでは意味が無いので、次はしっかり良いサッカーをして勝ちたいと思います」  日の丸から遠ざかっていたその男は、世界最高の舞台で己を磨き、一回りも二回りも大きくなって帰ってきた。29歳となった乾貴士は今、充実の時を迎えている。 取材・文/福田 悠 撮影/難波雄史(本誌)
フリーライターとして雑誌、Webメディアに寄稿。サッカー、フットサル、芸能を中心に執筆する傍ら、MC業もこなす。2020年からABEMA Fリーグ中継(フットサル)の実況も務め、毎シーズン50試合以上を担当。2022年からはJ3·SC相模原のスタジアムMCも務めている。自身もフットサルの現役競技者で、東京都フットサルリーグ1部DREAM futsal parkでゴレイロとしてプレー(@yu_fukuda1129
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