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森友問題は財務省増税派の安倍おろし? 「パンとサーカス」こそ民主主義の要諦

江崎道朗のネットブリーフィング 第33回】
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安倍首相は人気があるから叩かれる


国会議事堂 森友問題がきっかけで安倍政権の支持率が急落していると言われている。この森友問題が話題になり始めた昨年2月頃、ある週刊誌の記者から、次のようなことを言われたことがある。

「安倍一強と言われるように、現在の野党はあまりにも非力だ。しかも自民党内の権力闘争もないので、国政がつまらない。スポーツ新聞や週刊誌からすれば、政治ネタがなくて困っていて、たまたま森友問題で『安倍政権に赤信号』という記事を書き始めたら売れるようになった。それでテレビのワイドショーも後追いするようになったわけです」

 マスコミから叩かれるのを恐れてか、近年、口が堅い政治家が増えてきているし、自民党も昔のような派閥抗争をしなくなってきている。そのためマスコミとしては、面白い政治ネタがなくて困っているという指摘は確かに当たっているかも知れない。

 その記者はこうも言っていた。

「安倍総理が叩かれるのは、それだけ国民から人気がある証拠ですよ。よほどのスキャンダルを起こした場合は別ですが、週刊誌やスポーツ新聞の政治報道の場合、人気がない政治家を叩いても仕方がないですからね」

 では、森友問題を収束させるためにどうしたらいいと思うと聞いたら、こう即答してきた。

「森友問題以上に面白い政治ネタを、自民党が提供することですよ。例えば、かつてのYKK(山崎拓、加藤紘一、小泉純一郎の三人の政治家に対する愛称)のように若手政治家を前面に出して、自民党内で権力闘争、世代間抗争を始めたらいい」

 古代ローマ帝国は、市民の支持を獲得し続けるために「パンとサーカス」を重視したと言われる。「豊かな生活(パン)」と「娯楽(サーカス)」を提供することが政治の要諦だと考えたわけだ。

 この「パンとサーカス」は、愚民政策を揶揄した表現だと批判されてきたが、この週刊誌の記者からすれば、安倍政権はもっと「サーカス(面白い政治ネタ)」を提供すべきだということになる。

支持率低下は森友問題が原因なのか


 言われてみれば、第二次安倍政権は十分に「サーカス」を提供しているとは言い難いが、「パン」についてはしっかりと対応していると言えよう。

 そもそも安倍政権が5年間も政権を維持できたのは、アベノミクスという名の景気回復、つまり「パン」を提供してきたからだ。そして支持率が低下してきているのは、その「パン」が怪しくなってきているからではないか。

 デフレ脱却に向けた強力なエンジンとなっていたのは、日銀の金融緩和だ。もし安倍政権がさらなる金融緩和を推進するつもりがあるならば、日銀総裁には、デフレ脱却に執念を燃やしている本田悦郎駐スイス大使を指名すべきだった。

 しかし安倍政権は2月16日、5年経っても物価目標2%を達成できない黒田東彦総裁を続投させ、副総裁には、日本銀行理事の雨宮正佳氏をあてる人事案を提示した(3月16日、国会は賛成多数で同意)。雨宮理事は、デフレを放置してきた張本人、白川方明前日銀総裁の側近だ。日銀人事において「更なる金融緩和はしない」とのメッセージを安倍政権はマーケットに送ったのだ。

 しかも今回の政府予算でも大規模な財政出動はなく、来年10月には消費税増税が実施される「予定」だ。消費税が10%になれば、間違いなく個人消費は大ダメージを受け、景気は悪化していくことになる。そうした「手詰まり感」が広がってきているからこそ、安倍政権の支持率は急落したのではないか。森友問題だけに原因を求めると、とんだ勘違いをすることになろう。

 安倍政権が今後も国民の支持を獲得しようと思うのであるならば、森友問題の情報公開を徹底的に進め、「改竄」の責任の所在を明らかにするだけでなく、改めて魅力的な「パンとサーカス」を提示すべきなのだ。

 特にさらなる景気回復を目指して消費税増税の見送り、または5%への減税という方針を打ち出すべきだろう。消費税減税を打ち出すとなれば、民間企業は大助かりだし、若者の雇用環境はもっと改善されるだろうが、その一方で消費税増税を求める財務省と全面対決することになる。

 だが、そもそも森友問題をここまでこじらせてきたのは財務省だ。いまさら財務省との全面対決を恐れている場合でもないはずだ。

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国内の権力闘争を勝ち抜く強い指導者こそ必要

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