この残酷な現実を生きる「12のルール」とは? 北米で大ベストセラーに
いま欧米で話題になっている本がある。それは、臨床心理学士でトロント大学教授のジョーダン・B・ピーターソンによる『12 Rules For Life:An Antidote to Chaos』。発売からおよそ2週間ほどで、早くもベストセラーになっているのだ(2月5日現在、米国・カナダでAmazon総合1位、英国で2位)。
ジョーダン・B・ピーターソン教授は、学者なのにロックスターのような人気者でもあり、YouTubeでの講義動画は累計3500万回もの視聴数を記録している。
『12 Rules For Life』の内容はタイトルの通り、処世術について。聖書やニーチェ、ドストエフスキー、フロイト、ゲーテ、果ては陰陽道などからも引用しつつ、以下の12のトピックに分けて説いていく(以下、< >は同書からの引用、筆者訳)。
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<ルール1 肩を丸めず、背筋を伸ばして立て>
<ルール2 自分のことを助けるべき他者とみなして扱うこと>
<ルール3 あなたに最善を尽くしてくれる友人とだけ付き合いなさい>
<ルール4 他の誰かではなく、昨日の自分自身と比較して成長を確かめなさい>
<ルール5 子供のことが嫌になるような振る舞いを自分の子供にさせないこと>
<ルール6 世界やシステムにケチをつける前に自らの行いを律しなさい>
<ルール7 その場だけの利益ではなく、意義深い理想を追い求めること>
<ルール8 真実を話す。少なくともウソはつかない>
<ルール9 いま話している相手はあなたが知らないことを知っているかもしれないという前提で接しなさい>
<ルール10 発言には正確を期すこと>
<ルール11 スケボーをしている子供の邪魔をするな>
<ルール12 道でネコに会ったらかわいがりなさい>
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しかし、ピーターソンは“これを守れば素晴らしい人生を送れます”などと甘いことは言わない。実際、「人生に幸福を求めることは無意味だ」と断言している。では、この12のルールは何のためにあるのだろうか? それは本書のサブタイトルが示す通り、“人生というカオスへの解毒剤”としての心がけなのだ。
たとえば<ルール1 肩を丸めず、背筋を伸ばして立て>では、ロブスターを例に、生物における勝者と敗者のシステムが説かれる。
人間よりもはるかに古い歴史を持つロブスターの時代から、生物には勝ち組と負け組とに振り分けられる秩序が存在する。戦いに勝った強いオスがより多くのメスと付き合い、居心地のいい住まいを確保する。これは資本主義や共産主義などといった新しい言葉で都合よく説明できるものではなく、生物が避けて通れない摂理だと突きつけるところから始まる。
しかし、その一方で、一時の勝者が永遠に勝ち続けられないのも自然の理であるから、たった一度負けただけでずっと敗者であるわけでもない。生物を支配する巨大な摂理は存在する一方で、短期的な状況はいずれ変わる。だからただ一度負けただけでウジウジとしょげこむな。そのような姿をしている以上、他人はあなたを負け犬としてしか扱わないだろう。
だったら人畜無害なお人好しでいるのはやめて、やり返せ。それにはまず見た目から正してみたらどうだ。ケンカに勝ったロブスターはどんな姿をしているだろう? 胸を張り、背筋を伸ばして立ち上がることだ、と発破をかけるのだ。
カオスを生きるための12のルールとは
負けたぐらいでウジウジとしょげこむな
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