更新日:2018年07月19日 22:05
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硫黄島ではどのように遺骨収集が行われているのか? 遺族と共にヘリコプターで…

当時の“正義”を理解した

「はじめて土に埋まった遺骨を見たときは、ショックというよりも『こんなに綺麗に残っているんだ』と驚きました。しかし骨がボロボロになっていることもあります。密林の中、道中で亡くなった兵士たちの骨は、木の根元に埋められていたのですが、養分を取られ原型をとどめていないこともありました」  集団で埋められている場合は、ここでこれほど多くの人が亡くなったのかと現実感に襲われる。密林で1人だけの遺骨が見つかると、この状況の中たった1人で亡くなった兵士の心細さを思い、心が押し潰される。 「遺骨収集に参加するまでは教科書に書かれた情報しか知りませんでしたが、善悪といった単純な言葉で明確に分けることはできないと感じました。一体なにが兵士を、この密林をさまよい戦わせたのだろうと考えてしまいます」  いまの正義と昔の正義は違うのだと佐々木さんは話す。昔の正義を現代の自分が理解することはできないが、国のために戦うことが正義。そのような時代もあったという事実を受け入れることはできたそうだ。  遺骨収集に参加するまでは戦争に関する報道もそこまで気に留めることはなかった佐々木さん。しかし今は、伝え方はメディアによって違えども、報道を見るたびに亡くなった兵士の遺骨や遺族のことが頭に浮かんでくるそうだ。<取材・文/國友公司>
元週刊誌記者、現在フリーライター。日々街を徘徊しながら取材をしている。著書に『ルポ西成 七十八日間ドヤ街生活』(彩図社)。Twitter:@onkunion
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