雑学

戦争の恐怖が体に伝わる…戦時中、野戦病院で日本兵たちに施された恐ろしい“処置”

― 連載「ドン・キホーテのピアス」<文/鴻上尚史> ―

激しい水虫と歯痛……戦争の恐怖が体に伝わるお勧めの一冊


 おかげさまで『不死身の特攻兵 軍神はなぜ上官に反抗したか』(講談社現代新書)は、18万部を超えました。今週(8/6発売)からは、『ヤングマガジン』で東直輝さんによるマンガ連載も始まりました。

a0e5bb8b14034ba2ac85230df7b41ccc_s そんな中、これもまた多くの人に知って欲しいという本があります。

 去年の12月に出版されて、10万部を突破している『日本軍兵士―アジア・太平洋戦争の現実』(吉田裕著/中公新書)です。

 戦争はダメだとか、国際紛争を解決する手段としてやってはいけないなんてことは、たぶん、みんなが思っています。

 けれど、隣の国が気に入らなくなると、「戦争もあり?」と思う人も出てくるのでしょう。

 そういう時、「反戦」とか「厭戦」とか、漢字レベルの言葉で主張してもあんまり意味はないんじゃないかと僕は思っています。

 本当に戦争をするのが嫌になるとしたら、それは、「身体的実感」というか、体を巻き込んだインパクトで訴えないとダメだろうと思っているのです。

 で、これはそういう本なのです。

 丁寧に、戦争ということは具体的にどういうことなのかを教えてくれるのです。

 例えば、戦争では水虫が猛威を振るいました。

 水たまりや泥濘(でいねい)での塹壕戦が続き、ある歩兵兵士は半年間も靴を脱げず、「言語に絶するほどの悪臭を放つ水虫に感染したと告白します。その水虫には、戦後も十年以上、悩まされ続けました。

 3千人から4千人に一人の割合でしか軍隊には歯科医がいなかったという事実も驚きます。ただでさえ、行軍の間、一度も洗顔も歯磨きもできないという状態で、虫歯にならない方がおかしいのです。

 けれど、歯医者が足らないので自分でなんとかするしかなく、「クレオソート丸(現在の正露丸)を潰して埋め込むか、自然に抜けるのを待つという荒療治」しかなかったのです。結果、歯をすべて失う兵隊が続出します。

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野戦病院の兵士達へ施された「処置」

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