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福島の避難解除区域に書店をオープンする芥川賞作家・柳美里「営業的には厳しいが続けないと」

 2011年の東日本大震災からもうすぐ7年がたつ。住民全員が避難となった福島第一原発20km圏内は、徐々に避難指定が解除されている。戻る住民はまだ少ないが、支援のため外部から移住してくる人も出てきている。作家の柳美里(ゆう・みり)さんもその一人だ。

新刊書店に加えてカフェやミニ図書室、小劇場からバーまで

オープン前の書店に立つ柳美里さん

オープン前の書店に立つ柳美里さん

 柳さんは2017年7月に南相馬市小高区に転居、今年4月9日に書店「フルハウス」をオープンさせる。当初は、自宅兼用の建物内に2間10坪のスペースで新刊書店を開く。今年の夏にはカフェを造り、ミニ図書室を開設する予定だという。 「そのほか、蔵や倉庫を改造してバーや小劇場も造るつもりです」  内装工事が終わり、本の棚詰めを待つばかりとなったタイミングで店を訪れると、真新しい木製の書棚が部屋を囲んでいた。在庫は5000冊ほどになるそうだ。 「例えば実用書は、庭造りや料理、編み物など、日常にちょっとした変化をもたらしてくれるような本を200~300冊選びました。絵本は400冊。この選書はかなり自信があるかな。この地域の人たちが、孫や子供にプレゼントすることをイメージして1冊1冊吟味しました。人間にとって必要なのは衣食住だけじゃない。文化的なものや遊びの部分も大事です。そんな地域の文化拠点になればいいな、と。  それからこの町には人が少なく、夕方を過ぎると通りは真っ暗。仮設校舎に避難していた高校が昨年4月に小高に戻り、いま500人の高校生が通学しています。学校帰りの生徒たちが、電車や親の迎えを待っている間の居場所にもしたい。おしゃべりをして、ただいるだけでもいいんです」
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営業的には厳しいが「なんとか続けないと」
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【フルハウス】
〒979-2121福島県南相馬市小高区東町1-10
FAX 0244-26-5081
営業時間 13:00~21:30
日曜・月曜定休

週刊SPA!3/13号(3/6発売)

表紙の人/ 滝沢カレン

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