サッカー日本代表新監督・西野朗ってどんな人? “名将”と呼ばれるワケ
今月7日、ボスニア・ヘルツェゴヴィナ出身のヴァヒド・ハリルホジッチ氏が、サッカー日本代表監督の座を追われた。後任は日本サッカー協会の理事と、技術委員長を務めた西野朗氏。いったいどのような経歴の持ち主なのか。監督交代の是非を語る前に学んでおきたい。
西野氏は1955年生まれの63歳。身長182cmと恵まれたフィジカルで、若い頃はプレイヤーとして活躍した。大学サッカーの名門、早稲田大学ア式蹴球部に所属していた頃は、学生ながら日本代表に選出。ミッドフィルダーとして高く評価され、今後の活躍も嘱望されていた。
大学卒業後の’78年、柏レイソルの前身である日立製作所本社サッカー部に加入。しかし、鳴かず飛ばずの状態が長く続き、代表から声がかかることもなくなった。復活は’85年。日本サッカーリーグ史上に刻まれる、8試合連続得点を挙げ、ベストイレブン入りも果たしたのだ。とはいえ、この年がキャリアハイであり、5年後に現役から退いている。
その後はプレイヤーとして所属していた日立製作所のヘッドコーチに就任し、指導者の道へ。’91年にはU-20日本代表監督に任命され、3年経つとアトランタオリンピック本大会出場が目標の、U-23日本代表を指揮することに。すると、前園真聖をキャプテンとし、中田英寿や川口能活といった才能も活用。28年ぶりの本大会出場を達成して、日本サッカー界のヒーローとして注目された。
さらに輝いたのが初戦の対ブラジル。ロベルト・カルロス、ジュニーニョ・パウリスタ、サヴィオといった若手に、オーバーエイジ枠のリバウドとベベット、アウダイールを加えた当時のカナリア軍団は、ケタ違いの強さであり、間違いなく優勝候補の筆頭であった。
西野監督はあえてオーバーエイジ枠を使わず、アジア予選を戦い抜いたメンバーだけで勝負。経験不足が目立つ選手たちのメンタルを踏まえ、明らかに格上と感じさせてしまうブラジルチームの映像は、決して見せなかったそうだ。結果は猛攻を退けて日本が勝利。ブラジルが放った28本のシュートは、1つとしてゴールネットを揺らさなかった。サッカーをあまり知らなくとも聞いたことがあるであろう「マイアミの奇跡」。世界中を湧かせたジャイアントキリングであり、街では号外が飛び交った。
’98年、縁が深い柏レイソルの監督に就任すると、翌年にナビスコカップを獲得。クラブに初のタイトルをもたらし、次シーズンでも強豪、鹿島アントラーズと激しい首位争いを見せた。結局2位に終ってしまったが、クラブ史上トップの順位であり、自身も高評価を受けJリーグ最優秀監督に。だが、’01年は1stステージ6位。補強した末の結果だけに責任を問われ、シーズン終了後、解任。

サッカー日本代表新監督・西野朗の軌跡

1
2
編集プロダクション勤務を経て、2002年にフリーランスとして独立。GETON!(学習研究社)、ストリートJACK(KK ベストセラーズ)、スマート(宝島社)、411、GOOUT、THE DAY(すべて三栄書房)など、ファッション誌を中心に活動する。また、紙媒体だけでなくOCEANSウェブやDiyer(s)をはじめとするWEBマガジンも担当。その他、ペットや美容、グルメ、スポーツ、カルチャーといった多ジャンルに携わり、メディア問わず寄稿している。
記事一覧へ
記事一覧へ
【関連キーワードから記事を探す】
イニエスタの獲得は失敗だったのか。“残念な結末”に潜むヴィッセル神戸の過ち
RADWIMPSの「Jリーグ新アンセム」にサッカーファンから賛否。30年使われてきた“鉄板曲”の代わりになるか
スポーツ観戦のユニフォーム、ディズニーの耳、どこまで着けて帰る? ファン調査
FC琉球・小野伸二「自分と合わない人ほど仲良くしてみると面白い」
FC琉球・小野伸二「離れていても変わらない家族への気持ちと自分の心」
久保建英の存在が日本のコーナーキックを変える
58歳になった“キングカズ”こと三浦知良。「40年目のシーズン」突入で、いったい何を見せてくれるのか
J2優勝“翌シーズン”にJ1優勝争いのFC町田ゼルビア。黒田監督が「たった2年でトップチームに押し上げた」2つのこと
サッカーW杯日朝平壌決戦の行方。カギは定期便と人的往来再開か
“北朝鮮へ旅行”できる日は来る!? 政府間の秘密接触、サッカー日朝戦で、断絶に変化か
FIFAランキング「15位の日本」。W杯で強豪との試合を減らすには「さらに上を狙う」必要が。“極めて難しい挑戦”だが目指す価値は十分ある
「MLB開幕戦」関連の報道が多すぎる。「ワールドカップ出場」が決まりそうなのに“影が薄い”サッカー日本代表
“1強状態”になったサッカー日本代表で”成長を感じられない”要素…「選手のポテンシャルを考えると、選択肢が少なすぎる」
最終ラインが“危機的状況”の日本代表。「インドネシア代表の3バック」を攻略する方法を考える
中村敬斗と三笘薫の突破に見る、サッカーにおける「ブロックプレー」の有用性
この記者は、他にもこんな記事を書いています