ジェーク“ザ・スネーク”ロバーツ ヘビと呼ばれた男――フミ斎藤のプロレス講座別冊レジェンド100<第68話>
ロバーツのナゾにつつまれたロバーツのプレイベート・ライフは、ドキュメンタリー映画『ビヨンド・ザ・マット』でその断片的なエピソードがいくつか紹介された。
ドラッグ依存症のジェーク“ザ・スネーク”。神に救いを求めるジェーク・ロバーツ。ロバーツは、ふたつの人格のあいだを行ったり来たりしていた。
それはひとつのファンタジーだったのかもしれないし、悲しい現実だったなのかもしれない。持ちものらしい持ちものは、自動車とスポーツバッグだけになってしまったらしい。
WWEのリングから消えてもプロレスをやめてしまったわけではなくて、いまでも毎週のようにアメリカのどこかの弱小インディー団体のリングでひっそりと試合をつづけているという。
プロモーターはロバーツがどこに住んでいて、どうやって試合会場までやって来るかを知らないし、じっさいに試合がはじまるまではほんとうにロバーツが現れるかどうかもわからない。
ロバーツは、孤独な薄笑いを浮かべながら知らない町の知らないハイウェイをきょうも走りづづけている――。
●PROFILE:ジェーク・ロバーツJake“The Snake”Roberts
1955年5月30日、ジョージア州ストーン・マウンテン出身。本名オーレリアン・スミス・ジュニア。父親は元プロレスラー&プロモーターのグリズリー・スミス。1975年5月、デビュー。1986年、WWEと契約。1992年、WWEを退団しフリーとなるが1996年に復帰。翌年、解雇。薬物不法所持、交通事故(あて逃げ)、動物虐待などで逮捕―執行猶予。2007年12月、WWEのウェルネス・ポリシー(医療費全額負担)で薬物依存症のためのリハビリ・プログラムに入院。2012年、ダイヤモンド・ダラス・ペイジのヨガ・メソッドにより減量に成功。2014年、WWEホール・オブ・フェームで殿堂入り。現在もときおりリングに上がっている。
※文中敬称略
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文/斎藤文彦
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