バスケットボールには「チェリーピック(さくらんぼ狩り)」も…
もちろん、他のスポーツでもスラングは使われる。例えば、バスケットボールの神様、マイケル・ジョーダンを表現する際に多く使われるのが「
ゴウト」。“Greatest Of All Time”=史上最高の頭文字を抜き出した略語で、ヤギを示す “goat” と同じ発音である。バスケでは「
チェリーピック(さくらんぼ狩り)」というスラングも有名。オフェンス後、相手陣内に残ったまま、味方からのパスを待つスタイルのこと。サッカーでいうカウンター戦術に近いが、バスケでは怠け者としてディスの対象に。
一方、ディフェンスの頭上からダンクを決める「
ポスタライズド」は、“そのままポスターにできる、絵になる”プレーであり、賞賛の意。バスケットを掴むようなパワフルなダンクの代名詞といえば、「
スラムダンク」だ。かつてL.Aレイカーズ専属のアナウンサーが、ダンクのたびに「スラ~ムダンク!!」と叫んだことがルーツ。当然、人気コミックのタイトルもここから来ている。
また、バレーボールで球が顔や体にヒットすることを「
スポルディング」という。スポルディングはUSの大手スポーツメーカー。ボールに刻まれたブランドロゴが、肌に残るほど強く当たったことを示す、少し恥ずかしい状態である。同じくバレーでは「
フィッシング」がユニーク。網に魚が掛かった様子とかけて、タッチネットのことを指しているわけ。
ゴルフ大好き世代に使って欲しいのが「
アリス」。アリスはアメリカで非常にスタンダードな女のコの名前。パット時に踏ん切りが悪く、大きく距離が足りなかった場合にかける言葉で、日本で「お上品~」とからかうのと同じ感覚だ。そして、林に打ち込んでしまったら「
ジェイル」と。本来は牢屋、監獄の意味。アメリカ人は木々を格子に見立てて、出にくい場所に打っちまったとボヤくのだ。
アメリカのスポーツ観戦には、様々な褒め言葉や野次が付き物。解説者も独特な言い回しをすることが多い。海の向こうの試合だってリアルタイムに観戦できるようになった今、ちょっとしたスラングを学んでおくと、もっと現地の雰囲気が味わえるようになるだろう。<文/金井幸男>
編集プロダクション勤務を経て、2002年にフリーランスとして独立。GETON!(学習研究社)、ストリートJACK(KK ベストセラーズ)、スマート(宝島社)、411、GOOUT、THE DAY(すべて三栄書房)など、ファッション誌を中心に活動する。また、紙媒体だけでなくOCEANSウェブやDiyer(s)をはじめとするWEBマガジンも担当。その他、ペットや美容、グルメ、スポーツ、カルチャーといった多ジャンルに携わり、メディア問わず寄稿している。