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西城秀樹さんの死でまたまた湧き上がる「サウナはカラダに悪い説」の真相は?

ダイエット&酔い覚まし目的のサウナは危険

 さて、西城さんがサウナに通った理由のひとつに、ダイエットが挙げられる。常に人に見られる職業だけに、身長181cm・体重68kgという均整の取れた体型を維持する努力を重ねていたのは想像に難くない。最近は若い女性の間でもサウナがブームになりつつあるが、これも美容やダイエット目的という要素が大きいはず。しかし、ここには根本的な疑問が残る。果たしてサウナは本当に痩せるのか……?  これまで多くのアスリートの減量を見てきたトレーナーの足立光氏(ボディプラント六本木)は、西城さんのように水を飲まずにサウナに入る格闘家が多くいることを認めつつも、「あまりにも特殊なケース。一般人が真似するのは自殺行為」と断罪する。足立氏によると、ファイターたちの減量は以下のようになっているという。 「階級にもよりますが、試合前は2~3ヶ月かけて10~15kg落とすケースが多い。そして最終段階で“水抜き”と呼ばれる減量に入ります。これは水分を摂らずにサウナに入るなどして、一気に体重を落とす行為。汗もかかない、カラカラに干からびた状態にするのです。これはかなりの荒業で、身体から必要以上に水分が抜けると、脳が縮んで重大事故が発生する可能性も増える。ただ、ここはポイントなのですが、プロの場合は前日計量がほとんど。計量時に規定体重をパスすると、翌日の試合に向けて選手は必死で体重を“戻す”んです。つまり水抜きとは、むしろリバウンドすることを目的にしている減量。通常のダイエットと根本的に違うということがおわかりいただけるはずです」  試合前日の軽量時から翌日の試合時間まで、10kg以上リカバリーする選手もザラにいるというから恐ろしい。ボクシングではIBFが各階級のリミット+10ポンド(4.45kg)を前日計量から当日のリバウンド上限として規定。だが、それ以外の団体では特に制限がないのが現状だ。MMA(総合格闘技)にいたっては、ボクシング以上に熾烈な「体重戻し合戦」が展開されている。今年3月に行われた山中慎介VSルイス・ネリの試合でネリが体重超過が発覚した際、「2kg違えばパンチの破壊力は段違い」などと語られた。だが、試合当日の実質体重で見れば、もはやそれどころの話ではないのだ。 「個人的には、サウナがダイエットに向いているとは到底思えません。入り方には注意が必要です。さらに言えば、美容・健康業界でしばしば使われるデトックスという概念もエビデンスのない疑似科学ですからね。汗の中に毒素が含まれるなんて、専門家からすれば笑止千万ですよ。ではサウナが身体に悪いかと言えば、決してそんなことはない。血行をよくしたり、新陳代謝を促したりと、プラスになる面は確実にあります。要するに汗を流して体重を減らすのではなく、毛細血管まで温めて血液の流れを活性化させる目的で入るものなんですね。その部分を理解していれば、サウナはあなたの健康をサポートしてくれるはずですよ」(足立トレーナー)  サウナが健康に悪いということはない──。石原院長も足立トレーナーも「サウナ害悪論」を一笑に付すが、「入り方」に関しては注意を促している。「長時間入りすぎる」「水分を摂らない」といった行為は絶対にNG。さらに「よくあるサウナの誤った入り方」にも言及する。 「お酒を飲んだあとでサウナに入る人をよく見かけますが、これは本当に危険。“サウナに入って酒を抜く”なんて、ありえないことなんです。そもそもアルコールというのは揮発性があって、身体の水分を奪うものですから。特に40歳を過ぎてからは、血栓ができやすいので要注意。“飲んだら入るな!”は徹底していただきたいです」(足立トレーナー)  サウナとの「正しいつき合い方」を改めて考えていきたいものだ。〈取材・文/小野田 衛〉
出版社勤務を経て、フリーのライター/編集者に。エンタメ誌、週刊誌、女性誌、各種Web媒体などで執筆をおこなう。芸能を中心に、貧困や社会問題などの取材も得意としている。著書に『韓流エンタメ日本侵攻戦略』(扶桑社新書)、『アイドルに捧げた青春 アップアップガールズ(仮)の真実』(竹書房)。
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