麻雀・Mリーグ発足を素直に喜べない業界の本音
POKKA吉田&木曽崇のギャンブル放談<3>
身近なギャンブルの1つである麻雀。麻雀組織やプロ組織も数多く存在し、プロ雀士たちはCS放送を中心にメディアにも数多く出演。女流雀士はアイドル顔負けのルックスで人気を博している。そんな麻雀界に大きな動きが起きている。7月17日にサイバーエージェントの藤田晋社長がプロ麻雀リーグ「Mリーグ」の発足を発表。今年10月から来年3月にかけて1チームあたり80試合をおこない、優勝賞金は5000万円という一大プロジェクトが動き始めている。最高顧問にはJリーグのチェアマンなどで活躍した川淵三郎氏が就任。麻雀の普及と健全化を目指しているのだが、一方、業界内部にはこの状況を素直に喜べない方々もいるようだ。ぱちんこジャーナリスト・POKKA吉田氏とカジノ研究家の木曽崇氏がギャンブルをキーワードに言いたい放題しゃべりまくり、斬りまくる『POKKA吉田&木曽崇のギャンブル放談』では、そんな麻雀界、Mリーグの舞台裏をギャンブル界のご意見番に語ってもらった。
木曽崇:1つのチームに3人の選手が所属していますから、1人の選手が戦う試合数はもっと少なくなりますよね。麻雀は偶然性に左右される部分もあるので、本当に強い人が浮かんでくる形にするには試合数を増やすべきという議論もありますが、問題はAbemaTVの放送枠との関係ですね。
POKKA吉田:AbemaTVは、全試合放送をやらない可能性もあるってこと? やるやろそりゃ(笑)。
木曽崇:「麻雀チャンネル」で全試合放送をやるのが前提だからこそ、試合数を絞らないといけないんですよ。試合数が多すぎると放送枠確保の面で問題があり、これをどうしようかという論議がずっとある。だから今回は80試合でやりますっていうのは、とりあえず試験的にやってみて、ていう話なんです。今後いろいろマイナーチェンジをしていくつもりなんでしょう。
──注目選手としては、俳優の萩原聖人さん。Mリーグの各チームが欲しい選手を指名するドラフト会議で、電通チームに指名されましたね。
POKKA吉田:8月7日のドラフト会議で指名されるように、萩原聖人さんはわざわざプロ団体に入ってプロ雀士になったのよね。
木曽崇:既存のプロ雀士からすると、面白くないんですよ。だって7月21日にプロ団体に入ったばっかの萩原聖人には、プロ雀士としての実績は何もない。なのにそんな人がドラフト1位で選ばれちゃうと、いったいなにがプロか? プロは競技として戦うものなのに、それが人気投票で選ばれるのか……という話になるわけですよ。
POKKA吉田:二階堂姉妹、かわいいやん! 俺は今回のドラフトで指名された妹派やけど(笑)。人気がある選手を出さなアカンでしょ。萩原聖人さんだって、あの21人の選手の中で一番カネになるのは彼ですから、そりゃあ電通がドラフト1位で持っていくのも当然ですよ。
木曽崇:ドラフトの指名がどうなるかは、事前にプロ雀士の方々のなかでもいろんな論議がありました。萩原さんだけでなく女流雀士も含めて、SHOWとして演出するための人がたくさん選ばれるだろうと予想する人がいる一方で、いやいやMリーグは藤田さんが麻雀愛で仕切っているから、実力を見て選ぶんじゃないかと見る人もいて、二分されていました。
POKKA吉田:フタを開けてみると、それぞれのチームごとにカラーがすごい出てた。電通なんて、もう完全にタレントを固めたグループでしょ。
木曽崇:一方で、U-NEXTの選手の顔ぶれを見ると、完全に実力先行で選んでますよね。だからMリーグの各チームの指名状況は、人気本位と実力本位で完全に二分される形になっています。これから実際にMリーグが開幕したとき、実力派を揃えたU-NEXTなどが本当に独走するのかどうかが見ものですよ。
POKKA吉田:いろいろな面で、オレはMリーグの動向に注目してるけど、これが麻雀界に及ぼす影響も気になるよ。Mリーグ最高顧問に就任した川淵三郎さんは、「Mリーグと選手は賭博行為といっさい関わらない」と明言してます。そうすると、いわゆる一般的な風俗第4号営業の雀荘は今後どうなるんやろ。
木曽崇:実は雀荘側は相当悲鳴を上げていて危機感を持っています。ただ麻雀の健全化に向けたシフトというのは僕は正しいと思うし、賭けない麻雀を推進するグループは徐々に増えてきてるんですよ。雀荘を見ても、ノーレートや健康麻雀の店と、そうじゃない店という図式が出来上がっていますし。
──そういえば、昔ながらの無頼派麻雀の体現者でもあった小島武夫先生が亡くなったのが、今年5月28日でした。麻雀界の動向と、タイミング的に偶然とは思えませんね。
Mリーグ発足とプロ雀士たちの本音
Mリーグが麻雀界に及ぼす意外な影響と雀荘経営者たちの思惑
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