時給800円のバイトから人気競馬ゲーム開発者へ。 ウマジョ河原まゆ突撃インタビュー
第3回 人気競馬ゲーム開発者からヒントを得るぞ(前編)
東京・大久保にある「大衆酒場まゆ」。店長のグラビアタレント、河原まゆは幼いころから競馬に親しむウマジョにして、現在は競馬タレントとして活躍中でもある。ラジオ番組なども持ち、競馬の仕事も増え始めた彼女だがさらなる高みを目指すためには何が必要なのか。そんな彼女にアドバイスするべく、競馬界で活躍するゲストが「大衆酒場まゆ」に集い、アドバイスをする連載も……新型コロナウイルスによる自粛でお店は休業を強いられ、一旦再開も現在休業中。ソーシャルディスタンス確保もあって今回はゲストのもとに趣き、教えを請うことになった。
今回のゲストは麻雀ゲーム「MJ」の開発者でスターホース2の開発にも関わっていた髙畑大輔氏。実は髙畑氏の実家は競馬関係でお父上が名門・グランド牧場で場長を務めていた。そして現在、髙畑氏は麻雀Mリーグのセガサミーフェニックスで監督を務めている“筋金入り”の方なのである。今回はセガサミーホールディングス社内にある麻雀ルームで競馬への視点を中心にウマジョに必要な要素を聞いた。
河原まゆ(以下、まゆ):競馬ゲームはよくやります。スターホースも触ったことはあるのですが女のコ一人でゲームセンターはなかなか機会がなくて……。でも、まわりの競馬ファンは皆スターホースやってる人が多いんですよ。
髙畑大輔氏(以下、髙畑):私が最初に携わったのは「スターホース2」の開発なんです。
まゆ:髙畑さんはもともとゲーム開発をやりたくて今の仕事に就いたんですか?
髙畑:いや、実は私、もともと京都ジョイポリスで時給800円のアルバイトをしてたんですよ。
まゆ:ゲームセンターの店員さん? そこからゲームの開発になったんですか?
髙畑:親父がグランド牧場の場長だったので小さいときから生産関係者の多いところで育ったんですね。でも、田舎が嫌いだったんですよ。寒いのもイヤだったし、高校は静内高校だったのですが通学も大変で……とにかくこんな田舎はとっとと出たいと思っていた。でも勉強もできるわけじゃなかったので資格を取ると親を騙して京都に出たんですね(笑)。そこで20歳のときにアルバイトをしてたんですよ。そこにたまたま、競馬ゲーム開発についての社内公募が行われてて、機械も触ってるし、4歳から高校卒業まで北海道で競馬の世界はずっと見てきたから知識も負けないしなぁ……って、試しに応募してみたら通っちゃった(笑)
まゆ:メチャクチャ適任ですね(笑)。でもそれまでゲームの開発経験は……
髙畑:ないない。本社に来てくれとなって開発に行ったのが23歳のときでした。まあ普通はSEGAも新卒で開発に入るものなんですが、現場で実機を触っていたアルバイトが開発に……なんて、かなり珍しいことだったんですよ。
まゆ:スターホースは2になって格段に演出が増えて面白くなったと聞いてます。私の親世代や先輩たちはよくやってましたね。
髙畑:やはりシリーズを通して見るとスターホース2になって大きく変わりましたね。グランド牧場での経験をそのままブッ込んでますからね。たとえば成長する映像では強い馬のときに桜が舞うのですが、あれは静内の桜まつりが好きなので春の時期に合わせて実際に牧場の原風景をイメージして入れてあるんです。
まゆ:実際の牧場でのできごとが再現されているんですね。
髙畑:そうです。ほかにもレースで惨敗したときにやる気なさそうな厩務員が馬を引いてるシーンですけど、あのモデリング、実は私なんです。
まゆ:本当ですか! モデリングということは実際に撮影したんですね。
髙畑:実際に出張と称して実家の親父にボロボロの靴を借りてCG化したんですよ。実際のものなのでリアルと間違うわけがないですから。それから、3冠にリーチのかかった場合の菊花賞で「歴史がその瞬間を待っている」っていうCG演出を出すようにしたのですが、あれは実際にディープインパクトが菊花賞を獲ったときにターフビジョンで映されたものを再現しています。京都にいて、生で見た私にとって印象的なシーンでしたから。
まゆ:実際ゲームしている人でどれだけ気づいている人がいるんでしょうね。演出だと思っているけど実際にあったことをモチーフにしている。スターホースの見どころってゲームの面白さだけじゃないのかもしれないですね。
髙畑:細かいところにこだわってますね。例えば大井競馬場に出走させるときにはゲートが開く際にブザーが鳴るというのも実際現地で音を録ってそれを流してますし、流れるレースシーンに今は移転してしまいましたが当時Gフロントのあたりにあったモツのお店も再現しています。めちゃくちゃこだわりましたね。デザインの担当に「看板の黄色の色味がちょっと違うよ」とか(笑)
まゆ:競馬好きな人って「細かい人」が多いですけど、その要求にみごとに答えていますね。みんなハマるわけです(スタッフ全員うなずく)。
田舎を飛び出した結果たどりついたのがスターホース
実体験に基づいた演出をふんだんに盛り込んで大ヒット
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公営競技ライター・Youtuber。近鉄ファンとして全国の遠征観戦費用を稼ぐため、全ての公営競技から勝負レースを絞り込むギャンブラーになる。近鉄球団消滅後、シグナルRightの名前で2010年、全公営競技を解説する生主として話題となり、現在もツイキャスやYoutubeなどで配信活動を継続中。競輪情報サイト「競輪展開予想シート」運営。また、ギャンブラーの視点でプロ野球を数で分析するのが趣味。
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