eスポーツがオリンピック正式種目になれないこれだけの理由
POKKA吉田&木曽崇のギャンブル放談<2>
ぱちんこジャーナリスト・POKKA吉田氏とカジノ研究家の木曽崇氏がギャンブルをキーワードに言いたい放題しゃべりまくり、斬りまくる『POKKA吉田&木曽崇のギャンブル放談』。今回は前号に引き続きアジア大会でも公開競技となり、オリンピック種目を目指すeスポーツ界の裏側にズバリ斬り込んでもらいました。次回大会で正式種目化とされていたeスポーツですが、何やら雲行きがあやしくなってきたようで……
──前回の冒頭でも軽く触れましたが、eスポーツは4年後のアジア競技大会では正式種目に採用されることが決まっています。そうすると、2020年の東京オリンピックや、その次のパリオリンピックでも採用される可能性があるんでしょうか?
木曽崇:アジア競技大会の表向きの様子を見ていると、全部がポジティブに動いているように思ってしまいがちなんですけど、アジア競技大会を管理しているOCA(アジアオリンピック評議会)とIOC(国際オリンピック委員会)にはそもそも温度差があります。IOCは7月21日に「eスポーツとオリンピックの今後」をテーマにした公開討論会を開いてまして、僕が想像していたよりもかなりネガティブな厳しい意見が多かったです。そして、そのようなIOCの論調を受けて、肝心のOCAもスタンスが硬化してきたのが実態。つい先日なのですが、そもそもは「eスポーツが公式メダル競技として認定された」などと伝えられていた2022年の杭州アジア競技大会においても「未だ正式種目化はなされてない」などというOCAのコメントが海外メディア発信で報道され、日本国内でも現在進行形で「なにやら話が違ってきた」というムードが広がってきつつあります。
POKKA吉田:カテゴリーとしてはどうなの? eスポーツっていうのは麻雀やポーカーみたいなマインドスポーツなの?
木曽崇:マインドスポーツの中でも、チェスや囲碁がアジア競技大会の正式種目になったことはあります。でもアジア競技大会では、eスポーツはエレクトリックスポーツという、マインドスポーツとはまた別ジャンルのスポーツ分野だというふうに認定しています。
POKKA吉田:たしかに、コントローラーをうまく動かしてプレイするって面では、スポーツ的だよね。それに体にセンサーをつけて激しい動作をしてプレイするようになったらまさにスポーツではあるか。
木曽崇:だけど、伝統的なフィジカルスポーツをやっている人たちからしてみると、TVゲームはスポーツじゃないだろうという否定論がもちろんある。ゲームのなかで使われがちな暴力表現や性表現に対してアレルギーを持ってる委員もいます。ただ、そういう観点での議論よりも、実はeスポーツ特有の知的財産、つまり著作権関連の大きな問題があるんですよ。
POKKA吉田:今回のアジア競技大会だと、『ウイニングイレブン2018』(コナミ)を含めて、計6タイトルのゲームで競技が行われることになってるけど、ここでは著作権の問題はクリアになっているということ?
木曽崇:なってません。だから実態としてはかなりモメています。まず整理しますと、サッカー、野球、テニス、ボクシングなど、伝統的にオリンピックがあつかってきたスポーツはパブリックコンテンツですから、誰かが権利を持っているものではないですよね。だけど、例えばこれをサッカーではなくて「ウイイレ」を競技種目にするとなると、コナミの版権がモロに絡んできてしまう。
POKKA吉田:つまり、競技の様子を客に見せるときには、「(c)コナミ」ってつくのか(笑)。
著作権と放映権ビジネスの間で揺れるeスポーツ
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