お金

イチャモンつけたくなるオーラ――「お金0.0」〈第28回〉

達也「なんか、ほんと、すいませんでした。ご迷惑おかけしちゃって…」 先輩「…なにやったの?」 達也「…いや、その、みなさんに喜んでもらおうとおもって、写真とりますよーって言ってたんです」 先輩「それだけ?」 達也「はい…。それだけ」 先輩「んー。そうか。じゃあきっとあれだな。居るだけで気に食わなかったのかもな」 達也「え……?」 先輩「いるだけで、目に入るだけで、なんかイチャモンつけたくなるオーラが出てたのかもしれない。うん。キッカケを待ってただけなんだろな」 達也「そんなぁ…なんでそんなことするんですかぁ…」 先輩「うーん。この世界は縄張り意識もすごいし、先輩後輩も厳しいだろ。ウチなんかまだ和気あいあいとしてて優しいほうだけど、厳しいところは厳しさを演出すること自体が目的になってる場合もある。つまり、偉そうにすることとかヘコヘコすること自体を目的にしてるとこもある」 達也「僕関係ないじゃないですか」 先輩「やられたほうにしてみたらそうかもしれないけど、確かになんかイラッとくるオーラを持ってるとも思う。早い話、ターゲットにされたんだろな」 達也「そんな…、あしたから、ぼく、どうしたらいいんですかね」 先輩「うーん。ああいうことする人たちは単純だから、ひとまず相手のルールに従ったフリをするってのが早道なんだけど、できる?」 達也「それなら得意です!!!!」 先輩「よかった。じゃああしたから真っ先にあの人のところに行って挨拶することから始めるといいよ。元気に、ちょっとおだてながら。ああいう人たちはチヤホヤしてくれる子分を本当に大事にするから、チヤホヤする子分になったらいいんだよ」 達也「わかりました!任せてください!」 ——– —– — つぎのひ 達也「おはようございます!!!!!!いい天気ですね!!!!!!!!」 怖兄「おわぁっ!!!!なんだおめぇ!朝からうるせぇよ!!!」 達也「昨日はほんとすいませんでした!!!心を入れ替えてがんばりますのでぜひご指導ください!!!」 怖兄「お、おぅ…。わかりゃえぇのよ。もうくだらねぇことやんじゃねぇぞ」 達也「はい!!!!」 怖兄「あ、おじょうさ~ん。人力車いかぁっすかぁ~♡」 ——– —– — 達也「せんぱい!」 先輩「お、オツカレー。どうだった?」 達也「ばっちりでした。午後なんか飲み物までくれて、人が変わったように優しくしてもらいました。ほんとにありがとうございます」 先輩「よかった。なんか変わったことしようとするとそれだけでイチャモンつけてくるタイプの人たちだから、なんかあったらまたおしえて」 達也「はい!!!」 先輩「あ、そうだ。今日みんなで達成記念の飲み会行く予定なんだけど、行けるよね?」 達也「はい!!!でも僕、始めたばっかりでご一緒してもいいんですか?」 先輩「うんいいよ。色んな人と話せるいい機会だし。じゃあ18:30にこの店で。」 達也「ありがとうございます!!!!」 次号へつづく
―[「お金0.0」]―
(いでの・たつや) 1994年、兵庫県生まれ。元かけだし俳優、高校卒業と同時に上京。文学座附属演劇研究所卒業後、エキストラ出演やアルバイト勤務を華麗にこなし、たまたま仮想通貨で得た大金を秒速で盗まれる。Twitterアカウント(@tatsuya_ideno
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