腕時計投資家の斉藤由貴生です。私は、現代のおかしな消費を変えるために実践を重ねながら、いろいろ研究してきました。私は30代のいわゆるバブルを全く知らない世代です。所有欲の薄い世代とは言われますが、私の場合は、むしろ価値あるものは我慢せず所有したいと考えています。そんな私の価値観を、不定期ですがご披露したいと思います。
斉藤由貴生
第11回 同じ給料なのに、なぜあいつのほうが贅沢できるの?
もしかすると、あなた自身も「100万円のロレックスが欲しい」「いつかはBMWに乗りたい」と、漠然と思ったことがあるかもしれません。ただ、本当に考えて消費をしている人は、所得にかかわらず欲しいモノをきちんと手に入れているのです。
では具体的にどうしているのでしょう。次の事例を紹介します。
AさんとBさんは、29歳の独身で、月収は手取り23万円。全く同じ条件の男性です。そしてボーナスの手取りも同じく80万円。収入に差はないので普通に考えれば同じような生活になるはず。しかし、その暮らしぶりにかなりの差があるのです。それでは比べてみましょう。
贅沢はしていないけど知らず知らずのうちに浪費しているAさん
Aさんは大学から東京に出てきて、その時借りた中央線沿いのワンルームのアパートに今も住み続けています。もう10年以上もの間住んでいるアパートは、今更住み替えるのも面倒くさく、そんなに不便を感じているわけでもありません。そんなわけで、部屋の中も学生時代からそんなに変化がありません。当然、長年女性を連れてきたことはないようです。
これといって趣味もないAさんは、周りがボチボチと結婚しているのを見て、あと5年ぐらいで自分も結婚するのかな、と漠然と思っています。彼女がいないAさんは、結婚ということよりも単に彼女が欲しいという理由で、ネットで「モテ服」と検索して出てきた服を安く買ったりしています。そんなAさんは、キャバクラ通いするわけでもなく、パチンコに行くわけでもなく、特に浪費するような要素はありません。
住む場所だって学生の時と同じだから、家賃だって光熱費だって変わるはずはありません。にもかかわらず、Aさんの貯金はほぼゼロ。毎月の出費と手取りの給料はほぼ一緒です。ボーナスが出た時は、一時的に銀行口座の額が増えますが、それも徐々に消えていってしまうのです。不思議ですね。
贅沢も浪費もしないAさんのお金はどこへ消えていっているのでしょうか?
それは、なんとなくお金を払っている日々の生活の中に消えていってしまいます。
Aさんの生活を見ると、朝はコンビニで200円のブリトーと150円のコーヒー、健康のためにサラダも購入。なんだかんだで朝で500円は使っています。朝ごはんがコンビニなので、健康を気にするAさんはビルの地下街にある人気の海鮮居酒屋やイタリアンなどのランチをローテーション。ランチは1000円ぐらいが平均です。そして、夜は仲間と居酒屋で5000円ほど使う日もあれば、1人で牛丼セット620円の時もあったりします。結果的に、Aさんは1日の食事代だけで3500円ほど使っているのです。
人付き合いは大事だけど……
ざっくり考えると、月で約10万円の食費。タバコを吸わないAさんですが、休憩中に飲む缶コーヒーやフリスクやらを購入することでプラス500円。食費だけでなんと12万円ほどになります。それは貯金なんて残るはずもありません。なんとなく買う洋服や携帯代、たまに買う電化製品などは、後々のボーナスを頼りにしながら細々と暮らしています。
同じ給料なのに……。Aさんが見て驚いたBさんの生活ぶり
一方、日頃から「考えて消費」しているBさんは、賃料が比較的安い都内の地下鉄沿線にある物件で1人暮らしをしています。職場まで満員電車に揺られるのはイヤだと思ったので、賃料が安めで比較的空いている路線のエリアを探しました。
Aさんのワンルームとほぼ同じ家賃の1LDKに住むBさんのリビングルームには、バング&オルフセンのオーディオセットとフリッツ・ハンセンのソファが置いてあります。家賃こそ安い部屋ですが、高級感が漂っています。Bさんの家に来客があった時はネスプレッソで抽出した濃いコーヒーを振る舞うのが常。女性が遊びに来た時なんかは、スターバックスで買ってきたバニラシロップを入れたアイスラテなんてものを振る舞ったりしています。
そんなBさんの家に誰かが来た帰り、車で送ってあげるという余裕もあります。そして、その車はBさん自慢のベントレー。Bさんの左腕には高級腕時計がキラッと光っています。週末、西麻布らへんに遊びに行くこともあるBさんですが、その際もベントレーでお出ましするため、アルコールは飲みません。しかもBさん、西麻布のパーキングメーターは19時以降タダで止められると知っています。誰かと遊ぶ時も車なので、場所は、深夜やっているオシャレなカフェが基本。終電を気にする必要もないですし、一緒にいる人を送って行ってあげることも可能です。近々、Bさんは親に婚約者を紹介する予定だそうです。
1986年生まれ。日本初の腕時計投資家として、
「腕時計投資新聞」で執筆。母方の祖父はチャコット創業者、父は医者という裕福な家庭に生まれるが幼少期に両親が離婚。中学1年生の頃より、企業のホームページ作成業務を個人で請負い収入を得る。それを元手に高級腕時計を購入。その頃、買った値段より高く売る腕時計投資を考案し、時計の売買で資金を増やしていく。高校卒業後は就職、5年間の社会人経験を経てから筑波大学情報学群情報メディア創成学類に入学。お金を使わず贅沢する「ドケチ快適」のプロ。腕時計は買った値段より高く売却、ロールスロイスは実質10万円で購入。著書に『
腕時計投資のすすめ』(イカロス出版)と『
もう新品は買うな!』がある
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