お金

価値がある消費は「自分以外の誰かが欲しいと思えるモノ」を買うこと

 腕時計投資家の斉藤由貴生です。私は、現代のおかしな消費を変えるために実践を重ねながら、いろいろ研究してきました。私は30代のいわゆるバブルを全く知らない世代です。所有欲の薄い世代とは言われますが、私の場合は、むしろ価値あるものは我慢せず所有したいと考えています。そんな私の価値観を、不定期ですがご披露したいと思います。

斉藤由貴生

第10回 モノの価値を落とすのは買った所有者

 前回は、「腕時計を買うなら、5万円のより30万円のほうが儲かる理由」について説明しました。  おそらく、ほとんどの人が「価値のあるモノ」と「価値のないモノ」の差を理解せずに、購入していると思います。その境界線は実に曖昧で、なんとなく高価なモノが「価値のあるモノ」と思いがちですが、それはそれで時間とともに価値の低いモノへと変化します(ヴィンテージで価値が高まるモノももちろんありますが、それは別事例としてお話しします)。

「売れる」=複数の人から「価値のあるモノ」と思われている状態

 例えば5万円の腕時計だって十分高価です。しかし、最初こそ大事に使うものの、慣れてくると雑に扱ってしまう。うっかり傷をつけてしまう。汚してしまう。このように所有者が雑に扱うと、見た目も段々とヨレてきて、「こんなものが売れるわけないよ」と買った本人すらも、「価値が落ちたモノ」だと認めるというわけです。よく「これが壊れたら新しい時計を買おう」という人が多いように、なんとなく価値がないことはわかっているのだと思います。  しかし、ロレックスの腕時計を買った人はどうでしょうか。文字盤に書かれた「ROLEX」という文字は、いつまで経っても価値があることを思い出させてくれるでしょう。しかも、その価値はあなたにとってだけでなく、周りの人も虜にします。デキる人のつけている高級腕時計はすごく注目されますよね。

高級腕時計の代名詞ロレックス

「売れる」ということは、複数の人から「価値のあるモノ」と思われている状態なのです。自分だって、価値のあるモノを身に着けていると、気分も違いますよね。  このように、ロレックスを買った人は自分自身の中だけでなく、外から伝わる価値を感じるのです。ほとんどの人が「価値のある」ということを忘れない、すなわちずっと「価値のある」と思うので、日常的にも大事にします。
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「腐ってもベンツ」と言われるモノの価値
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1986年生まれ。日本初の腕時計投資家として、「腕時計投資新聞」で執筆。母方の祖父はチャコット創業者、父は医者という裕福な家庭に生まれるが幼少期に両親が離婚。中学1年生の頃より、企業のホームページ作成業務を個人で請負い収入を得る。それを元手に高級腕時計を購入。その頃、買った値段より高く売る腕時計投資を考案し、時計の売買で資金を増やしていく。高校卒業後は就職、5年間の社会人経験を経てから筑波大学情報学群情報メディア創成学類に入学。お金を使わず贅沢する「ドケチ快適」のプロ。腕時計は買った値段より高く売却、ロールスロイスは実質10万円で購入。著書に『腕時計投資のすすめ』(イカロス出版)と『もう新品は買うな!』がある

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