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震災から8年…津波から45人の命を救った神社が再建へ

神殿の建材を燃やして12時間も寒さを凌いだ町民たち


 東日本大震災から8年、いまだ復興は道半ばだ。復興庁によれば、2月時点の全国の避難者数は約5万2000人。3月1日時点でも2500人以上が行方不明(警察庁発表)のままとなっている。今なお、生まれ育った土地に戻れずにいる被災者が数多くいるのだ。

諏訪神社

被災地の神社・仏閣を無償で再建するプロジェクトの2例目に選ばれた諏訪神社 写真提供/竹添 武

 中でも最も多くの県外避難者を生んだのは、津波被害と原発事故に見舞われた福島県だった。現在も3万2631人もの被災者が故郷から遠く離れた土地で過ごしている。

 その福島を舞台に、民間主導の小さな復興プロジェクトが3月に始動した。福島第一原発から北に10㎞足らず。いまだ多くのエリアが帰還困難区域に指定されている双葉町と、’17年3月に避難指示区域指定が解除された浪江町。2つの町の境に位置する両竹(もろたけ)地区で長く地元住民に親しまれた諏訪神社が、大阪のデベロッパー・創建の手によって無償で再建されることが決定したのだ。

 発端は創建のグループ会社が’15年に北海道札幌市の石山神社の建て替え工事を受注したことだった。建設各社が1億円超と工事費を見積もるなか、同社は宮大工の技を工場で再現した独自のプレカット木組み工法で4000万円に抑えることに成功。この技術を広めるべく昨年から被災地の神社・仏閣を無償で再建するプロジェクトをスタートし、諏訪神社が2例目に選ばれたのだ。

「60人ほどの氏子は震災後、散り散りになって連絡が取れない人も多いんです。皆さん生活があるから、再建に向けて寄付をお願いするのも難しいでしょう?

 それで倒壊してから8年間ほぼ手つかずだったところに、神社庁の紹介を受けて今回のお話をいただきました。こんな、ありがたいことはありませんよ」

 諏訪神社の宮司を務める木幡輝秋さん(84)は笑顔で話す。聞けば、「平安時代に坂上田村麻呂が建立したと伝えられている」歴史ある神社。加えて、東日本大震災時には45人の命を救った“守り神”として知られているという。海岸から1㎞ほどの小高い丘の上にある諏訪神社に避難して、津波被害の難を逃れた人たちがいたのだ。その一人である竹添淑子さん(65)が当時を振り返る。

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海のほうを見たら黒い壁が見えた

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