更新日:2023年03月12日 09:19
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「偽装留学生」を食いものにする日本…留学生1400人が消えた東京福祉大の闇

日本はもはや“ブラック国家”

 日本語学校の学費やブローカーへの手数料などで偽装留学生は150万円程度の借金を背負い来日する。現在、留学生の中心となっているベトナムやネパールなど新興国の年収数年分に相当する莫大な金額だ。しかし法律で留学生に認められる週28時間以内のアルバイトでは借金はなかなか減らず、翌年の学費を捻出することもままならない。出井氏が続ける。 「留学生は多額の借金を残したまま国に帰ることもできないため違法就労が横行する……。東京福祉大が行った『私たちは行き場のない留学生を助けてきた』という釈明は、彼らにすれば、ほかの多くの大学、専門学校、日本語学校がやってきたことを、国も黙認してきたのに、なぜ今さらウチだけを悪く言うのか? という叫びです。  ’08年に福田政権が策定した『留学生30万人計画』が、現在の“第2次日本留学ブーム”を起こし、当時14万人だった留学生を倍増させた。だが、この計画は成長戦略の一環として、国ぐるみで留学生に劣悪な環境で低賃金労働を強いることに繫がっている。偽装留学生問題の根底には国の制度設計の欠陥があり、国はその抜け穴を知りながら、恣意的に看過してきた。  そして、かつては学生が集まらず経営が苦しかった地方短大が、今は大学や専門学校が、留学生の受け入れで生き残りを図っているように、すべてのプレーヤーが留学生を食いものにしている。日本はもはや“ブラック国家”と言っていい」  東京福祉大は当初、文科省に対して、消息を絶った留学生を「除籍」と報告していた。3月22日、柴山昌彦文科相は、留学生の在籍状況をより的確に把握するために、「退学」や「除籍」の理由も提出するようルールを改めるとしたが、偽装留学生問題は根治できるのか? おざなりな議論に終始した特定技能を巡る在留資格論争を見る限り、あまり期待できない気もするが……。

利益の最大化を狙って中国人留学生を“差別”?

 東京福祉大の「研究生」の学費は年間62万8000円と決して安くはない。ただ、石渡氏によると「なかでも、中国籍の出願者には87万円と割高に設定されている。おそらく、近年、成長著しい中国の留学生からは高い学費を取れると踏んで、狙い撃ちしているのはないか。つまり、より利益を得るため差をつけているのでしょう」と分析する 取材・文/週刊SPA!編集部 撮影/山崎 元 ※3/26発売の週刊SPA!今週の顔より
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