「うつ病?サプリで治せ!」退職代行に寄せられた、ブラック企業経営者の大暴言
改元、そして空前の10連休。世間はお祝いムードが漂っているが、揺り戻しも大きい。いわゆる「5月病問題」だ。
「実は今年は、すでにその兆候が顕著なんです」
そう語るのは、嵩原(たけはら)安三郎弁護士。情報バラエティ番組「ミヤネ屋」などメディア出演も多い敏腕弁護士である。
嵩原氏は「会社を辞めたくても辞められない」と悩む人たちの退職代行業務にも注力している。
退職代行とは、仕事を辞めたいのに言い出せない人に代わって、法の専門家である弁護士が会社に退職の意思を伝えてくれるサービス。2018年の夏頃からインターネットを中心に広まり、ブラック企業やパワハラに悩む労働者たちの間で利用が拡大している。
新年度に入り、嵩原氏のもとにはすでに2000件もの相談が舞い込んできている。前回の記事でも「相談の連絡がもっとも増えるのは、連休最終日の夕方」と嵩原氏は語っているが、特に今年のGWは10連休ということもあり、例年以上に相談件数が増えることが予想される。
そして驚くべきは5月病どころか、内定時点での退職依頼も少なくないこと。今回はそんな「プレ5月病」の典型例とも言えるケースを紹介したい。以下は、嵩原弁護士と依頼者のやりとりである。(※編集部注 個人情報に配慮し、事実関係が歪まない範疇で脚色を加えてあります)
* * *
相談者「大学4年生の男子です。就活をして、建設系の会社に内定が決まりました。しかし1月末ごろから不眠や動悸がするようになりました。何をしても楽しくないし、不安ばかりが募るので病院へ行ったんです。そうしたらうつ病と診断されてしまって……」
嵩原「それは大変でしたね」
相談者「医師からは『自宅療養をするように』と告げられたので、その旨を内定先に伝えたんです。すると先方は『それはうつ病ではなくて、ストレスによる情緒不安定だね。ひとまずサプリを飲んで4月から出社するように』と言われてしまって……。先生、僕はこのままサプリを飲んで、会社に行かなくてはならないんでしょうか?」
嵩原「うつ病にサプリですか。そもそも、うつ病かどうかの判断を医師でもない会社の人間がするのもおかしな話です。相談者さんの場合、早く退職をしたほうが良いですね」
相談者「でも会社の規約を読むと、退職を希望する際には2か月以上前に申し出なくてはならない、と書いてあるんです。だから今はできないのかなって。入社前でも会社を辞めることはできるんですか?」
「内定を辞退したい」という依頼も
「うつ病? サプリを飲んで出社しろ」
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