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腕時計投資のプロが新品ではなく中古品を勧める最大の理由

 腕時計もクルマも好きな斉藤由貴生です。私は、現代のおかしな消費を変えるために実践を重ねながら、いろいろ研究してきました。私は30代のいわゆるバブルを全く知らない世代です。所有欲の薄い世代とは言われますが、私の場合は、むしろ価値あるものは我慢せず所有したいと考えています。そんな私の価値観を、不定期ですが披露したいと思います。

斉藤由貴生

第19回 新品は買った瞬間、価値が大暴落する

 新しいモノを購入し、封を切った瞬間、その人の所有物。つまり価値が落ちてしまう。誰もが当たり前のように理解していることですが、改めて考えてみると不思議な現象だと思いませんか。ごく稀に、新品で買っても価値が下がらないというモノが存在することは確かですが、大体のモノは箱を開けた瞬間、もう返品もできませんし同じ値段で売却することも不可能でしょう。  特に外車はナンバープレートを付けた瞬間、何百万円も価値が下がってしまうほど。たとえ乗らなかったとしても書類上誰かの名義になっただけで、ガクンと価値が落ちる。これは非常に不思議な現象です。

希少性が高い車の場合、のちのち価値が上がることもあります

 一方、一度誰かの手に渡った中古品はそこからいきなり価値が落ちることはありません。車であれば走行距離が増えた分だけ、家電であれば時間が経って古くなるにつれ緩やかに値下がりしていくのです。  そういう事情があるのにもかかわらずモノを買う時に多くの人の頭の中には「新品」という選択肢しかなく、店舗に足が向かいます。そして新品で買ったモノはすぐに価格が下落。売るということもしなければ、払った額は買った瞬間、瞬時に消滅してしまう。これって本当にもったいない話です。

「売りのプロ」の持ちモノはほとんどが中古品

 常識とは怖いもので多くの人が当たり前と思っているから不思議な現象が起こっていたとしても誰もそれを変だとは思いません。  ですが、よく考えてみてください。お店に行って新品のモノを買う。そして家に帰ってその封を切る。けれどもなんだか失敗した気がする。じゃあ、ヤフオクに売ってしまおう。しかし、落札された額は、買った値段の7割。使ってもいないのに、3割のお金をドブに捨ててしまったことになるのです。実際はヤフオクすらやらない人が大半だと思うので、「売る」という行動にすら移さないかもしれません。  持ちモノのほとんどが高い値段で売れるという「売りのプロ」は、所有する価値あるモノのほとんどが中古品となるのが特徴です。中古を買うのが最もお得な買い方なのは明白で、中古を買うからこそ売った時の差額が少ないわけです。

買ったときと売ったときの差額を少なくする。買ったときよりも高く売れそうなものを買うのが大事です

 モノには大きく2つの価格が存在します。それは新品価格と中古価格です。  新品価格は、まさに新品時の価格。この新品価格という中にも、定価やらヤマダ電機の価格やらネット価格やら様々な値が存在します。当然、10万円で買ったら10万円が戻ってくることはありませんし、買った本人も10万円が返ってくることを全く期待していません。中古価格は、誰かが使ったモノの価格。同じモノでも中古価格には様々な値段がついていますが、若干の差という感じです。大体中古品には相場があって、同一商品ならどれも似たような値段で取引されています。  ここで重要なのが誰かが使ったという点。中古品は既に誰かが使ったモノなので、あなたが使っても誰かが使ったということに変わりはありません。しかし、新品の場合はあなたが買ったことで中古品になります。すなわち、家に持ち帰ってビニール袋を破った瞬間、中古品へと変貌するのです。  一方、一度中古品になってしまえばその後の相場はほぼ変わらないという事実もあります。たしかに、自動車や電化製品のように進化のスピードが速く、毎年新作が出る商品の価格変化はありますが、それでもそんなに相場が変わらない自動車やパソコンだって存在するのです。    つまり、本当に価値があるモノはたとえ中古でも、その価値は落ちることがないのです。これが私が最も中古品を勧める理由です。
1986年生まれ。日本初の腕時計投資家として、「腕時計投資新聞」で執筆。母方の祖父はチャコット創業者、父は医者という裕福な家庭に生まれるが幼少期に両親が離婚。中学1年生の頃より、企業のホームページ作成業務を個人で請負い収入を得る。それを元手に高級腕時計を購入。その頃、買った値段より高く売る腕時計投資を考案し、時計の売買で資金を増やしていく。高校卒業後は就職、5年間の社会人経験を経てから筑波大学情報学群情報メディア創成学類に入学。お金を使わず贅沢する「ドケチ快適」のプロ。腕時計は買った値段より高く売却、ロールスロイスは実質10万円で購入。著書に『腕時計投資のすすめ』(イカロス出版)と『もう新品は買うな!』がある

もう新品は買うな!もう新品は買うな!

もう大量消費、大量生産で無駄遣いをするのはやめよう

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