更新日:2023年04月18日 11:18
お金

腕時計投資の第一人者が最近買った腕時計は?

 腕時計投資家の斉藤由貴生です。  私はこれまで、腕時計を「買って⇒使って⇒高く売る」ということを行ってきたのですが、そういった買い方をすれば、「欲しいけど手が届かない」と思っていた憧れの腕時計を買うことが可能です。また、買った値段より安く売却したにせよ、腕時計の価値は他のモノと比べると下がりづらいため、いずれにしてもお得に購入することができると思います。

斉藤由貴生

 モノを買う時に多くの人は、「買った値段=消費額」だと思っていますが、本当は「購入額-売却額=本当の消費額」であるといえます。実際、マンションを買う際、多くの方がそれを意識していると思うわけですが、モノが対象となるとなぜか「売る」という発想が弱くなってしまうようなのです。  多くのモノの場合、「新品時が最も高く、その後は緩やかに下落」という動きとなりますが、マンションの場合は「値下がり」だけでなく「値上がり」もするということが多くの人に知られています。そのため、売る前提という概念が浸透しているのかもしれません。  まさにこの「値下がり」も「値上がり」するという点が重要であるといえるわけなのですが、そういった値動きをするモノはあまり多くありません。しかし、高級腕時計はまさにそういった値動きとなっているため、買った値段より高く売れる可能性がある稀有なモノであるといえるわけなのです。  さて、今回は私が購入した腕時計をご紹介しようと思っているわけですが、なぜそれを選んだのかということについて、投資家的な観点からお伝えしたいと思います。

値上がりしそうな腕時計の見極め方は?

 将来的に値上がりする可能性を見極めるには、いくつかの方法がありますが、大きくは「今みんなが欲しがっている時計」か「将来的に注目されるであろう時計」の2つに分けられると思います。  腕時計投資の第一人者としては、「今みんなが欲しがっている時計」を買うのではあまり芸がないと思ったため、今回私が選んだのは、より難易度が高い「将来的に注目されるであろう時計」という観点。ただ、それだけでは、先取りしすぎて面白みを感じる方が少ないかもしれないため、今回は「今人気」という要素も含んだ時計を選んでみました。  そんな私が今回選んだのは、オーデマピゲの「ロイヤルオーク」。ロイヤルオークといえば、腕時計ファンにとっては有名どころであるため、「すでに注目されている」と思われても不思議ではありません。

オーデマピゲ「ロイヤルオーク4100ST」の白文字盤

 実際、ロイヤルオークはロレックスやパテックフィリップのスポーツモデルとともに、人気モデルの一角という印象もあり、「どこが注目されていないのか?」と感じる時計ファンは多いでしょう。けれども、そんなロイヤルオークには、まだまだ光があたっていない要素があるのです。  ロイヤルオークというモデルは、パテックフィリップやロレックスなどと比べると、これまでに世の中に出たモデルが多い傾向があります。そのため、まだまだ影に隠れた名品が存在。そういったモノはそこまで高くはなっていません。  そのなかでも特に私が注目しているのは、ロイヤルオークとしては初期世代に当たるモデル。ロイヤルオークにおいて、現行モデルの人気が高いのはもちろん、1972年に登場した初代モデルは、すでに評価されています。しかし、そんな初代モデルに近い世代の比較的古いモデルは、いまだ注目度がそこまで高くないのです。

ロイヤルオークとはどんな腕時計なのか?

 ロイヤルオークという腕時計は、有名な腕時計デザイナー、ジェラルド・ジェンタ氏がデザインしたモデルとして有名ですが、デビューから時がたつにつれてジェンタ氏のデザインから遠ざかってしまった傾向があります。  それに対して初期世代は、ジェンタ氏のデザインを忠実に守っており、初代でなくとも同じような雰囲気を保っているのです。なかでも重要なのが、文字盤上のバーインデックスと呼ばれるパーツの形状、ロゴの書体、デイト表示の位置という3点。  ジェンタ氏のデザインは、バーインデックスが細く、「AUDESMAS PIGET」の書体も普通のシンプルなゴシック体。それがその後のモデルでは、バーインデックスが太く、書体はロゴタイプとなり、デイト表示の位置がずれてしまったのです。初期世代のロイヤルオークは、そういったバランスが全て完璧になっており、まさにオリジナルロイヤルオークの雰囲気を踏襲していると感じます。  特に「AUDESMAS PIGET」の書体も普通のシンプルなゴシック体は重要だと思うのですが、実はこれは初代モデルだったとしても、文字盤を交換するとロゴタイプの新しい書体に変わってしまうというアイテム。こういった文字盤のレア感は、ロレックスだと高値の要因となることが有名であるのですが、オーデマピゲでは未だそういった現象は起こっていません。
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腕時計投資のプロも魅了するその魅力
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1986年生まれ。日本初の腕時計投資家として、「腕時計投資新聞」で執筆。母方の祖父はチャコット創業者、父は医者という裕福な家庭に生まれるが幼少期に両親が離婚。中学1年生の頃より、企業のホームページ作成業務を個人で請負い収入を得る。それを元手に高級腕時計を購入。その頃、買った値段より高く売る腕時計投資を考案し、時計の売買で資金を増やしていく。高校卒業後は就職、5年間の社会人経験を経てから筑波大学情報学群情報メディア創成学類に入学。お金を使わず贅沢する「ドケチ快適」のプロ。腕時計は買った値段より高く売却、ロールスロイスは実質10万円で購入。著書に『腕時計投資のすすめ』(イカロス出版)と『もう新品は買うな!』がある

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