更新日:2023年04月25日 00:06
デジタル

『ドラクエウォーク』が成功した3つの理由。ほかのタイトルは苦戦しているのに…

理由その2:課金バランス

 基本プレイ無料のスマホゲームは、内容自体が面白くても、課金への誘導がうまくいかないとビジネスとしては失敗に終わってしまいます。ドワンゴが昨年11月に配信した位置情報ゲーム『テクテクテクテク』は、画期的なゲーム性を評価する声は多かったものの、思うように収益が上がらずわずか半年でサービス終了となりました。 『ドラクエウォーク』の場合、課金面ですでに成功しているスマホゲーム『星のドラゴンクエスト』の先例があったのがプラスに働いたように思います。『ドラクエウォーク』も『星のドラゴンクエスト』も装備をガチャ(ふくびき)で引くスタイル。レア度が高い星5の武器が手に入ると戦闘が有利になるため、ついガチャに課金したくなるゲームデザインとなっています。

ふくびき(ガチャ)で武器や防具をゲットするシステム

 そのうえで『ドラクエウォーク』は、星4の武器であってもオリジナルの『ドラクエ』と同じ要領でちくちくとレベルを上げ、じっくりボス戦に挑めば、無課金でも十分にシナリオを進められるバランス。課金面での舵取りの上手さが現在の成功の理由のひとつです。

理由その3:『ドラクエ』世代の幅広さ

 初代『ドラゴンクエスト』は今から33年前、1986年にファミコンソフトとして発売されました。当時20歳前後でプレイした人は現在50代。非常に幅広い世代が『ドラクエウォーク』の潜在的ユーザーとして存在していることになります。健康のために何か始めようと考える30代以上に響くゲーム性であることも大きいでしょう。  現在『ドラクエウォーク』では、懐かしい「りゅうおう」がラスボスの『ドラクエI』イベントが開催され、中高年の夫婦が『ドラクエ』世界に浸りながら街を歩いている様子をしばしば目にします。スマホゲームはいかにユーザーを飽きさせないか、先の展開に期待を持たせられるかが成功のカギ。今後も圧倒的なコンテンツ力を誇る『ドラクエ』シリーズ関連イベントが、幅広い世代のユーザーを引きつけそうです。

懐かしの『ドラクエⅠ』イベントも開催中

 モンスターの「こころ」を装備するキャラ強化、フレンドシステム、1都道府県につき4箇所の観光地でゲットできる「おみやげ」、「自宅」の家具のコレクション……と今以上にゲームプレイが深まりそうな種もあちこちにまかれています。『ドラクエウォーク』が現在の勢いをさらに加速させるのか、この先も楽しみです。
ゲーム雑誌・アニメ雑誌の編集を経て独立。ゲーム紹介やコラム、書評を中心にフリーで活動している。雑誌連載をまとめた著作『はじめてのファミコン~なつかしゲーム子ども実験室~』(マイクロマガジン社)はゲーム実況の先駆けという声も
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