大麻で収監されたラッパーD.Oが激白!「実際のラッパーはこんなにヤベェ奴だと分からせたい」
昨年6月、大麻取締法違反で逮捕されたラッパーのD.O。同年7月には勾留中にも関わらずミックスCDをリリースし、初の自伝『悪党の詩』は発売1か月で4刷と、ここにきて人気の高さを見せつけている。収監直前のD.Oに、SPA!はロングインタビューを敢行。ギャングスタ・ラッパーとして人生を賭けてヒップホップを体現する姿勢について、改めて思うことを聞いた。
――『悪党の詩』でも今回の逮捕劇について書かれていますが、最終的な罪状はなんだったのですか?
D.O:麻薬取締法違反と大麻取締法違反ですね。
――テレビなどでは、密輸疑惑も大きく報じられていましたが?
D.O: それについては誤解が解けた……というか、当初は2件の密輸疑惑で逮捕されたんです。でも本当に関わっていない事件だったので、密輸の件はさっぱり疑惑が晴れました。ただ、家宅捜索されたときに大麻がでてきちゃったんですね。
自伝にも書きましたし、これはハッキリしておきたいんですが、僕が持っていたのはがんで闘病中だった母親と、シェーグレン症候群という難病を患っている父親に使ってもらおうと思っていたモノ。結果、それが今の日本では裁かれるべきモノだったってだけ。逮捕によって人に迷惑をかけたことについては素直に申し訳ないと思っているけど、自分としては腹をくくってやったことだから後悔は特にないです。30代最後の誕生日を留置所の中で迎えたのも、僕らしいといえば僕らしい。
――闘病中「だった」ということは……。
D.O:母は亡くなりました。勾留中やお勤め中じゃなかったのは不幸中の幸いかもしれませんが、日本でも購入できる医療大麻(CBDオイル)に効果を感じて、それならば、と色々試そうとしていた矢先の逮捕で何もできなくなってしまった。思うことは色々あります。
――『SPA!』でも過去に語って頂いたことがありますが、その後にもスカパー!の 『BAZOOKA!!!』の医療大麻特集への出演も話題になりました。
D.O:あの収録当日に母親が大腸がんだと告知を受けたんですよね。それで自分でも興奮していて、すごく熱の入った議論をしたのを覚えています。
――そんな背景があったとは。
D.O:カルマですよね。告知段階で、もうステージ4だったので早ければ余命3ヶ月から半年と言われていたけど、2年以上頑張ってくれました。CBDもそうだし、僕が知りうるすべての知識を母に伝え、治療、介護に取り組んでいた。自分にとって大事な人間が苦しんでいて、それを楽にするために法を破ることは否定できるのか? これはいくら話しても、僕の考え方は変わりません。僕は破る道を選んだ、ただそれだけ。
この国ではどうあがいても仕方がないけど、糞食らえ! 僕の治療プランでまだまだお袋を楽しませられたし、貴重な時間を返せってハナシ。僕がこんな状態にも関わらず、母の葬儀に駆けつけてくれたり、何年も交流がなかったのに連絡をくれたりした方々には感謝しています。
――今回の逮捕含め、改めて自伝を読むと、幼少期からアップダウンの激しい人生に驚かされます。どうしたらそんなにタフでい続けられるのでしょうか。
D.O:そこだけが結局、僕が持っている武器なんだと。こういうことがあるたびに再確認している部分はあります。
アーティストに限らず、偉大なプレイヤーはみんな自分の中のルールというか、「このやり方で生きる」と決めたらブレない強固な意思を持っている。どんなことがあってもそれをやり通すタフネスこそが僕のヒップホップ、僕のアートだと思っています。
D.O(デンジャラス・オリジナル)というラッパーを名乗る以上、日本のヒップホップにおける歴史的な部分も背負っているつもりだし、「日本のギャングスタ・ラッパーの代表はD.Oってヤツだよね」と、世界中に思わせたい。本気でそう思ってやってきたし、これからもやっていく。
――自伝にありましたが、ニューヨークのクラブでファレル(・ウィリアムス)に「ジブラじゃねぇ、ケオリ(DJ KAORI)じゃねぇ。練馬だぜ!」と啖呵を切った10代の頃からブレていない。
D.O:そうです。ただ、それにはもちろん責任がともなうワケで。ヒップホップは黒人文化で、もちろんアメリカが先生みたいな感じだけど、当時から何となく自分なりに気づいていたことが、日本には日本のヒップホップ、リリック、スタイルがあるってこと。ただコピーするだけじゃなく、自分たちのヒップホップをどうメイクするか? ということをずっと考えてきた。
9年前、メジャーデビュー目前でパクられたときも、そりゃ落ち込みましたけど、てめぇのケツはてめぇで拭くだけ。ラッパーとして、華麗に立ち回るだけなんですよね。
――幻のメジャーデビューアルバムは、発売中止以前に店舗納品されていたものが流出して、ヤフオクで5万円もの値がつきました。
D.O:大麻をはじめ、イリーガルなことを包み隠さずラップして、勾留中にリリースもする。アメリカのヒップホップシーンでは当たり前のことだけど、日本では目立って当然。しょうがないですよね。僕はD.Oとして当然のことをしていて、でも今回僕を逮捕した組対五課(警視庁組織犯罪対策第五課)だってそれは同じ。ガキの頃から基本的に警察とは仲良くなれないんだけど(笑)、今回の担当刑事とはお互いリスペクトを持って向き合えたんです。
「留置所の中で誕生日を迎え、30代が終わった」
「ジブラじゃねぇ、ケオリ(DJ KAORI)じゃねぇ。練馬だぜ!」
『悪党の詩』 ストリートと暴力と音楽とメイクマネー、すべてひっくるめてこれが自分だと笑い飛ばす、究極のラッパーの自伝 |
この記者は、他にもこんな記事を書いています
ハッシュタグ