2000年代初頭、引き続き楽曲提供やトリビュートアルバムに参加するなどの活動をしていた岡村。だが、ファンにとって青天の霹靂とも言える事件が起こる――2003年1月に覚せい剤取締法違反で逮捕され、執行猶予付き有罪判決が下されたのだ。このとき、電気グルーヴ・石野卓球とのユニット『岡村と卓球』名義でのシングル、アルバムリリースの予定がされていたが中止に。その半年後、『ROCK IN JAPAN FESTIVAL』のステージで活動再開した。
2016年、約11年ぶりにリリースしたオリジナルアルバム『幸福』は岡村の完全復活を証明しているとも思える。収録曲は、『ラブメッセージ』に代表される初恋のような甘酸っぱさを帯びた多幸感溢れるラブソングから、持ち前の変態的リズムセンスが織り成す『ぶーしゃかLOOP』など、粒ぞろい。
また、近年は分野の違う表現者たちとも積極的に交わり、コラボ作品もたびたび発表している。2014年、Base Ball Bearのボーカリスト・小出祐介とコラボした『愛はおしゃれじゃない』を皮切りに、若い世代に人気のあるDAOKOと『ステップアップLOVE』を発表、KICK THE CAN CREWの楽曲にゲストボーカルとして参加するなど、常にアップデートを続けている。
――鬼才・岡村靖幸が、激動の2000年代を経て音楽シーンに復活できたのは、その音楽的才能が広く愛されているからであろう。<文/A4studio>