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iPS細胞の補助金はなぜ打ち切りに…黒幕は“税金で不倫旅行”疑惑の官僚!?

限られた財源のなかで「選択と集中」

 ここ数年、薬価引き下げや患者負担の軽減撤廃など、膨張し続ける医療費を抑制する圧力が高まっている。そのため、科学立国を標榜する国としては、限られた財源のなかで「選択と集中」を推し進める必要があるが、これが「まったく機能していない」という見方もある。『科学者が消える―ノーベル賞が取れなくなる日本』(東洋経済新報社)の著書もあるノンフィクションライターの岩本宣明氏が話す。 「『選択と集中』の対象となって国から補助金を得るには、公募に応募して採択される必要がある。だが、優遇される研究とそうでない研究があり、フェアとは言い難い。要は、手っ取り早くカネになりやすい研究が、より補助金を受けやすくなっているのです。  一方、ノーベル賞の大半は基礎研究で、それらに補助金がつくことは稀……。だから、近年の日本人受賞者たちは『もはや日本では基礎研究はできない』と口を揃え、懸念を露わにしているのです。大学院の博士課程を修了しても、研究者として正規雇用されるのは全体の1割にも満たない。その他は、有期雇用の研究職を転々とするか、研究を諦めエンジニアや開発者として企業に就職してしまう……。  理工系の大学院博士課程の進学者、つまり“博士の卵”は、大学法人法が成立した’03年以降減り続け、15年前の半分にまで落ち込んでいる。日本には基礎研究をやらせてくれる企業は非常に少ないため、研究現場の窮状が改善されなければ、今後、堰を切ったように海外への人材流出が起きるでしょうね」  科学立国を標榜する政府には、長期的な目線で旗振り役となってほしいものだ。 ▼備蓄事業への支援は一転「継続」が決まったが…… 京大iPS細胞研究所が推し進める備蓄事業を巡って、政府は’20年度以降の予算を削減する方針を示していた。だが、同研究所の山中伸弥教授の会見を受けて、12月6日に竹本直一科学技術相が「政府としては当初の予定通りやる」と説明。一転して、備蓄事業への支援を継続する意向を明らかにした。ただ、支援自体は’22年で終わる予定だ <取材・文/週刊SPA!編集部 写真/朝日新聞社> ※週刊SPA!12月17日発売号より
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表紙の人/ 飯豊まりえ

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