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としまえん閉園。デート、子守り、アルバイト…それぞれの想い

夏休みにプールで爆弾焼きを食べるのが好き

 練馬区在住の片桐優さん(仮名・30代)は、小学生の娘がいる主婦。近所のとしまえんに家族で行くことが多いという。 「娘の学校の友達の親子数組でとしまえんのプールに行くのが毎年の恒例行事です。思い出といえば、それが1番ですね」  片桐さんは、閉園後はどこに行こうか悩んでしまうという。一方で、娘は今どんな気持ちなのだろうか。 「娘は、プールで食べる爆弾焼きが好きで、としまえんがなくなってしまうのは寂しいと言っています。今も昔も、子どもたちにとってプールではしゃぐことって楽しいですもんね。こんな近くに大きな施設があるので、親としても便利だったんですけどね……。閉園してしまうのは仕方がないですが、新しいテーマパークも楽しみにしていますよ」

子どもたちの成長と共に…家族の思い出が詰まった場所

豊島園駅

豊島園駅(Photo by photolibrary)

 としまえんが近所で、「子どもたちの成長を感じさせる場所」と話してくれたのは、2歳と4歳の父親である松尾翔さん(仮名・38歳)。 「月1くらいで園内ではフリマが開催されていて、子どもが好きなおもちゃを売っているおじさんがいます。毎回のように機関車トーマスのプラレールを買い、我が家にはトーマスプラレールの車両がたくさん集まっています」  フリマが開催される日は、入園料が200円(通常は大人1000円/子ども500円)で入れるので、お得だという。松尾さんの子どもは1歳でとしまえんデビュー。年齢を重ねるごとに乗れる乗り物も増えた。以前は怖がっていたメリーゴーランドやコーヒーカップも最近では「楽しい」と喜んで乗っているそうだ。 「としまえんには絶叫系コースターもあり、悲鳴が聞こえるコースターを見て『僕も怖くないよ! 大人になったら乗るんだ!』と張り切っていた矢先の閉園というニュースに残念な思いでした」  もうひとつのお気に入りが、「昆虫館」だったと話す松尾さん。世界中の珍しいカブトムシやクワガタがおり、「ふれあい館」では、“カブトムシの王様”と呼ばれるヘラクレスオオカブトなどを実際に手に取って触れることができるという。大人の松尾さんも興奮するほど親子で楽しめる空間だ。 「昆虫館でも子どもの成長を感じられました。幼い頃は怖くて触れなかったのに次第に触れるようになって、最近ではカブトムシに目を輝かせています。都内にいながら男の子らしい好奇心をくすぐる、子どもたちのお気に入りの場所でした」  暑い真夏でも、凍えるような真冬でも、としまえんは子守りをするのに便利だった。目をキラキラと輝かせてはしゃぐ子どもたちを見ながら、その成長が実感できたという。  ――としまえんは長く続いたテーマパークだけに、時代が移り変わろうと、幅広い年齢層それぞれに思い出が残っていることが分かる。特に練馬区在住の人たちにとっては、身近で遊びに行ける場所として、すっかり日常生活の一部となっていたのだ。<取材・文/chimi86>
2016年よりライター活動を開始。出版社にて書籍コーディネーターなども経験。趣味は読書、ミュージカル、舞台鑑賞、スポーツ観戦、カフェ。
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