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センバツ高校野球の21世紀枠は不要? 出場校は3年間で全敗

 今年の春の選抜開幕まであと約1か月。選抜では夏の甲子園と違って、“21世紀枠”という特別枠で出場するチームの存在が特徴の一つでもある。とはいえ、実力重視で選ばれる出場枠ではないため、ここ最近の3年間は全チームが初戦敗退するなど、大会では苦戦しているのが実情だ。あまりのレベルの違いに、“21世紀枠不要論”まで叫ばれているほどなのである。
21世紀枠イメージ

写真はイメージです(以下同じ)

 そこで今回はこれまでの21世紀枠出場校の初戦の中で、得失点順に惨敗を喫した高校5校をご紹介。その上で21世紀枠は本当に必要なのか、その存在意義を考えてみたい。

第5位 11点差…2014年第86回大会 小山台(東京)0-11履正社(大阪)

 実は21世紀枠出場校が11点差つけられた初戦は二つある。その一つが昨年の第91回大会で熊本西が智弁和歌山の前に2-13で大敗した試合なのだが、試合内容という点でこの一戦を5位とした。  この年、都立高としては初の選抜出場を果たした小山台はその初戦で当時、4年連続の出場中の履正社と対戦。だが、この前年秋の東京都大会で強豪私学を連破してベスト8入りを果たした小山台も、大阪の強豪相手ではまったく試合にならなかった。  エース・伊藤優輔が初回こそ、相手の3・4番を連続三振に仕留め甲子園を沸かせたが、直後の2回に内野安打に3与四球でまず、1失点。さらに2死後から満塁ホームランを浴び、計5失点で早くも劣勢の展開に。この後、中盤までは得点を与えなかったものの、6回に内野のエラーから3失点、さらに7回に1点、8回にも2点と失点を重ね、試合が決まってしまった。  かたや肝心の打線も相手エース・溝田悠人の前に9回1死までノーヒットに抑えられる始末。結局内野安打1本だけの1安打完封負けで聖地を去っていったのであった。

第4位 12点差…2018年第90回大会 伊万里(佐賀)2-14大阪桐蔭

 少年野球の審判を行い、野球の底辺拡大に取り組む姿勢が評価され選出された伊万里。だが、よりによって初戦の対戦相手は根尾昴(中日)を筆頭にこの年のドラフト候補生たちが集結した“銀河系軍団”大阪桐蔭になってしまう。  案の定、伊万里のエース右腕・山口修司は初回からその強力打線の餌食に。1・2番に連続長短打されあっさりと1点を先制されると、2死からも5番・根尾以下に4本の長短打を浴び、打者一巡の猛攻で一挙5失点。さらに2回にも3点。3回こそ無得点に抑えたものの、4回には連続エラーから4失点。この時点で勝負は完全に決してしまった。  伊万里を率いる吉原彰宏監督はかつて県内の強豪・唐津商でも監督を務め、夏の甲子園を経験したこともあったが、この試合はまったくのお手上げ状態。伊万里は7安打を放ち終盤に2得点し、完封負けを逃れるのが精一杯だった。この年、春夏連覇を成し遂げる優勝候補筆頭の大横綱に十両の力士が挑むとこんな悲惨な結果になるという典型的な試合となった。

第2位タイ 14点差…2014年第86回大会 大島(鹿児島)2-16龍谷大平安(京都)

 離島にある学校で練習試合の相手に恵まれないなか、前年秋の県大会での準決勝進出が評価されて選出された大島。初戦の相手は戦前から甲子園を沸かせ続けてきた関西の古豪となった。  試合は4回まで1-1と互角の展開だったものの、中盤から龍谷大平安が圧倒。5回に3点、6回に5点、そして8回に7点を奪い、計17安打で16得点。対する大島も二ケタ安打11本を放ち,意地を見せたが、2点を返すのがやっと。野球の盛んな鹿児島県でも県大会ベスト4止まりのチームでは、のちにこの大会を制するチームの敵ではなかった。  とはいえ、大島は3度のホーム憤死と満塁の場面でのけん制死が1度あり、これがなければ……。全国大会での経験値がほぼない、21世紀枠の課題が浮き彫りになった試合でもあった。
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21世紀枠不要論の声があがった試合は?
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