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野球強豪校・済美OBのお笑いコンビ ティモンディ、甲子園を失った球児たちに伝えたいこと

 新型コロナウイルス感染拡大によって高校野球史上、初めて春の選抜が中止に追い込まれたのは大きな衝撃だった。選手はもちろんであろうが、筆者のようなファンの間でもショッキングな出来事として心に残り続けている。騒動は収束する気配がなく、最悪、夏の甲子園の開催も危うい状況だ。
ティモンディ

ティモンディ・前田裕太(左)高岸宏行(右)。思い出の品、済美高校のユニフォームとともに

 そこで今回、春中止で落胆する高校野球ファンのために、優勝春1回、準優勝春夏各1回ずつを誇る高校野球界の強豪校・済美(愛媛)の野球部出身で、テレビでも大活躍中のお笑い第7世代・ティモンディ(高岸宏行&前田裕太)を緊急直撃。強豪校出身だからこそ語れる高校野球への熱い思いを聞いた。

名将・上甲監督への感謝

――まずは、済美に進学した理由からお願いします。
ティモンディ

済美に進学した理由を語る前田

前田裕太(以下、前田):僕はいろんな高校からお声を掛けていただいたんですが、「甲子園に行けるところはどこだろう」と。その中でも済美は自分が小6のとき、2004年・春の選抜に初出場して初優勝してるんですよ。しかも大会史上最速の創部3年目で。  そしてその年の夏にも初出場して準優勝だったんです。だから済美だったら、甲子園出場も出来るし、その上も目指せるんじゃないかなと思って入学を決めた感じですね。 高岸宏行(以下、高岸):僕は愛媛で生まれたあとすぐに滋賀に行ったんですけど、夏休みとかのたびに毎回愛媛に帰ってたんです。愛媛って野球に力を入れている高校が多いせいか、地域全体や親戚全体が高校野球や甲子園を応援している。その姿を見て、愛媛で高校野球やりたいなっていう思いがあっての選択でしたね。  中でもやっぱり済美の思い出は強烈です。あの’04年春の初出場初優勝のときはみんなで応援してましたから。 ――済美といえば高校野球ファンにとっては名将・上甲正典監督(甲子園春夏通算25勝15敗)のイメージです。甲子園では試合中ずっとニコニコ笑っている姿が印象的なんですが、実は練習や練習試合ではとても厳しかったと聞いています。 前田:それはもう厳しかったですよ。それこそ練習量の厳しさもあったんですが、特に人間教育の面ですね。各地方から実力があって鼻も伸びてるような子供たちが集まっていたので、そういう人間性じゃあ社会には出られないよと。ちゃんと僕らが一人前の大人として育つように厳しいけど愛のある指導をしていただきましたね。
ティモンディ

「たくさん怒られた」(高岸)

高岸:僕もたくさん怒られました(笑)。済美は100人近い部員がいたんですが、それだけいる大勢の子がもしも同じミスをしたとしても同じように平等に全部叱れる、その愛情はホントにすごいと思いました。 前田:監督さんは3年生最後の夏まで脱落せずに残った部員に対して「よく頑張ったな」って。だから背番号をもらえなかった控え組のためにスタジアムを借りて他校と引退試合をするんですが、そこでレギュラー組は最後まで練習を支えてもらっているので、その恩を返すために応援に回るワケです。  そういう試合をちゃんと組んでくれたりとかして、レギュラー組以外のこともちゃんとケアをしてくれていたっていうのは、たとえ控え組で終わったとしてもそこに感謝の気持ちはありますよね。

2年生の夏・決勝のマウンドに上がった高岸

――高岸さんは2年生のときの夏の予選の決勝戦で最後に投げてますよね。 高岸:あのときは試合前から監督さんが「チーム総力戦でメンバー全員を使いたい」とおっしゃっていたんです。途中から劣勢になって、それでも最後まで諦めずに指揮を執られていたので。僕はその思いに応えたかったですね。  結果的に9回表に4失点して期待に応えることが出来なかったんですが、それでも3年生とともに最後まで諦めずに戦いぬいた経験は貴重な宝物になってます。 ――かたや前田さんの中での試合の思い出というと? 前田:僕は逆に試合に出て活躍した思い出というよりも、3年生が抜けたあとの2年生のときの新チームで初めて戦った大会ですね。そのときに背番号をもらえると思っていたら、1年生の後輩に背番号が渡ってしまって僕は、スタンドから応援することになってしまったんです。  明日からの練習のことを考えると、精神的にはかなり辛いものがありました。ただ、今となってはどうにかして自分を前に向かせなきゃいけない、それでもやっはり現実的にはけっこうキツイものがあるっていうのを経験出来たのは個人的にはとっても大きかったなと思います。
ティモンディ

高校時代を懐かしむふたり

――今の前田さんの背番号のお話もそうなんですが、お二人は3年夏の予選でも決勝戦で惜敗していて、実は2年連続惜しくも甲子園に手が届かなかったじゃないですか。まさに今回の春の選抜が中止になって無念の思いでいる球児たちと通じるものがあると思います。 高岸:いろんな人の思いがあってのあの判断になったと思うので、簡単に仕方ないとは言えませんが、やっぱり健康が大事じゃないですか。もちろん、球児たちは甲子園に出たかったでしょうが、練習で培ったもの、得られるものはたくさんあるハズです。球児たちには夏の甲子園はきっとあると信じてやっていって欲しいですね。 前田:逆に僕は最悪、夏がなくても仕方ないなっていうのがあります。そもそも野球だけが人生じゃないよとは思うし、練習するなかで勝つことだけがすべてじゃない、他に得られるものってたくさんありますから。  もちろん甲子園に出場したっていう思い出はとても貴重だとは思うんですけど、もっと大事なものがあるんじゃないかなとは思いますね。ただやっばり、僕らの現役時代のころを思うと「そんなに簡単には割り切れないな」っていうのはどうしてもありますよね。
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選抜が開催していたら…ティモンディが予想する優勝校は?
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