更新日:2023年05月23日 17:29
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YouTube、2020年はアダルト化が進む!? 初公開の広告収入から読み解く

YouTubeの「アダルト化」が進行すると何が起きる?

 そんなGoogleが抱えるYouTubeは、今後どうなるでしょうか。キーワードは「アダルト化」。これを理解するためには、日本最大のユーチューバー所属事務所であるUUUMの動向が参考になります。  2019年、YouTubeは子ども向け動画の基準厳格化を実行し、子どもをターゲットにした広告の非表示を発表しています。それにもかかわらず、YouTubeの収益は増加していることは前述した通り。  つまり、YouTubeは今や「子どもが見る動画サイト」ではまったくなくなったのです。その影響を受けたのがUUUMです。同社は、1月14日の決算発表以降、株価の下落が続いています。UUUMの稼ぎ頭は、YouTubeからの広告収入(アドセンス)。動画の再生回数が増えれば増えるほど、UUUMが儲かるビジネスモデルです。

HIKAKINも戦々恐々!?UUUMの“59%”のゆくえ

 2019年度5月期実績の同社のアドセンス売上は約117億円。これは、売上高197億円のうち59%を占めます。  しかし、この“59%”、今後は大きく減少していくかもしれません。事実、これまで成長を続けてきたアドセンス収益は、直近の発表で減少しています。(20年5月期第1四半期)さらに、再生回数を見てみると、直近の再生回数も減少していることがわかります。 19年5月期第1四半期…107億回 19年5月期第2四半期…95億回 19年5月期第3四半期…110億回 19年5月期第4四半期…112億回 20年5月期第1四半期…115億回←注目! 20年5月期第2四半期…109億回←注目!  HIKAKIN、はじめしゃちょーなど子供向けの動画配信を得意とするユーチューバーを多く抱えているUUUM。同社は、YouTube本体が子供向け動画への広告を打てなくなったことで、売上に影響を受けているのです。

2020年は、ユーチューバーの独立が起きる年

 UUUMが影響を受けるのは、子ども向け動画広告の収益減だけではありません。近年、オリエンタルラジオの中田敦彦さんなど、テレビで活躍している芸能人がYouTubeに参入してきています。これ、何を意味しているでしょうか。  一口で言えば、“YouTubeのアダルト化”が急激に進行していくと私馬渕は捉えています。UUUMに所属しない、これまでテレビを舞台としていた芸能人のYouTube参入は、UUUM所属のユーチューバーの脅威であることは間違いありません。  もう一つ、大きな変化を予測しましょう。  先日、チャンネル登録者数542万人(2月15日時点)と、国内NO.5の木下ゆうかさんがUUUMを卒業し、個人で活動することが発表されました。今後、木下さんのように発信力のあるユーチューバーは、独立することでGoogleからのアドセンスを100%自分の収益にする選択肢ももちろん出てくるでしょう。  UUUMを取るのか?独立するのか?  それを決めるのは、ユーチューバー個人がどれだけ仕事をもらって来られるかによって決まるでしょう。木下ゆうかさんは、「円満卒業」であると語っています。  とはいえ、従来のようにタイアップ案件を取ってくることや、人気ユーチューバーとバーター化することで新人ユーチューバーにも恩恵をもたらすだけでは付加価値が不十分になってくるのは間違いありません。  いずれにしても「好きなことで生きていく。」のコピーで有名なユーチューバーも、Googleを親会社とするYouTubeによって成り立っている話。「個人の時代」と言えど、GoogleやFacebookを代表とする巨大プラットフォームありきのビジネスモデルが少なくないことは間違いありません。  実は、私たちは「好きなことで生きていく。」というよりも、Googleを最大の取引先とする「“下請け業者”として生きている。」という皮肉も言えるかもしれません。 <参考> 1 Alphabet 2019年第4四半期 2 Apple 2019年度第4四半期 3 Facebook 2019年第4四半期 4 Amazon 2019年第4四半期
経済アナリスト/一般社団法人 日本金融経済研究所・代表理事。(株)フィスコのシニアアナリストとして日本株の個別銘柄を各メディアで執筆。また、ベンチャー企業の(株)日本クラウドキャピタルでベンチャー業界のアナリスト業務を担う。著書『5万円からでも始められる 黒字転換2倍株で勝つ投資術』Twitter@marikomabuchi
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