更新日:2023年05月24日 15:29
カーライフ

深刻なトラックドライバーの高齢化問題、希望は自動運転…?

自動運転の進化で解決を試みるドライバーの高齢化問題

 高齢化も重くのしかかる。総務省「労働力調査」によると、15~29歳までの若い就業者は全産業で16.1%だが、トラックドライバーを含む道路貨物運送業では9.4%と低く、40~54歳までの割合がもっとも多くて44.8%にまで及ぶ。若い世代が少なく中高年が多いことから、この先は高齢化間違いなしだ。  また、客先で預かった大切な荷物をトラックに載せて公道を走るわけだから、交通事故のリスクもある。積荷が高価だと、万が一の場合、その補償が追い打ちをかける。  さらに、積荷が大きいと積みづらいし、重いと運転操作だって難しい。筆者は過去、大型トラックやバスの開発業務を行なっていたが、積荷とドライバーの両方に優しい運転環境とは何かを第一に考え従事してきた。  こうした実状を踏まえ、商用車を開発するメーカーは、高度な運転支援技術や自動運転技術をトラックに早期導入することで、ドライバーの運転負担を軽減して労働環境を改善させ、ドライバーの高齢化にも立ち向かおうとしている。  ドイツの商用車メーカーであるダイムラートラックAGでは、欧州のメルセデス・ベンツを筆頭に、傘下の三菱ふそうトラック・バス(日本を含めたアジア地域)、フレートライナー(主に北米地域)で販売する大型トラック・トラクターに、自動化レベル2の技術を搭載して’19年から世界中で販売を開始している。
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右はフレートライナー。北米では鼻先の長いボンネット型が主。衝突安全性能が高く、乗り心地も良い

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左がアクトロス、右はスーパーグレート。見慣れたキャプオーバー型のスタイルで搭載センサーも同一

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メルセデス・ベンツのアクトロスの車内。積荷含めて25トンの車体でも安定して走るが、自動化レベル2技術を機能させると車線の中央を保つように制御が入る

 自動化レベル2とは、アクセルとブレーキを一定の範囲でシステムが制御するアダプティブ・クルーズ・コントロール機能と、車線を車載カメラで読み取って、その中央を維持するようにステアリング操作をサポートするレーンキープアシスト機能を組み合わせた技術だ。高速道路で使えるが、ドライバーが運転操作の主体だから手放し運転は不可。なので運転支援技術と呼ばれている。  実際に試乗してみたが、いざ走らせてみると、運転操作のドライバー負担は半分くらいにまで減っていた。市街地では、歩いている人を検知する衝突被害軽減ブレーキや巻き込み事故を抑制する先進安全技術も働く。高齢化に悩む物流業界は、先進的な運転支援技術が救うのだ。
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各種センサーは車体前部のミリ波レーダーと車体中央の光学式カメラで乗用車と同じだが、商用車はより遠くまで認識できる

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フレートライナーの車内

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三菱ふそうのスーパーグレートの車内

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自動化レベルは0~5の6段階。レベル2までが運転支援技術、レベル3以上を自動運転技術と呼ぶ

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大型トラックは乗用車と比べて車体が大きいので、車線維持機能の精度を乗用車以上に高めなければならない。ダイムラートラックAGでは人が運転しなくても走る自動化レベル4を開発中

【結論!】 クルマを進化させることでドライバーの負担軽減&高齢化に対応しようとしているのが商業車メーカー。将来的に高レベルの自動運転が実現するのは、こうした商業車からになるだろう。
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