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コロナで営業停止に…フロリダ州の日本食店経営者が見た現実

 新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、外出自粛の要請が出されている日本。一方、アメリカでは各地で“外出禁止令”が敷かれている状況だ。4月2日、米大リーグの田中将大投手が自身のTwitterを更新。「新型コロナウイルス感染以外でも身の危険を感じさせられる出来事があった」と言い、キャンプ地であるフロリダ州タンパから家族と共に帰国したという。
アイアイ寿司

田中裕子さんがフロリダ州タンパで経営する「アイアイ寿司」

 いま、感染者が爆発的に増加しているアメリカ。フロリダ州タンパで日本食レストラン「アイアイ寿司(I ai Sushi)」を経営し、シェフとしても腕を振るう田中裕子さんはその渦中の真っ只中にいた。同店には、メジャーリーガーも頻繁に訪れるという。今回は、この騒動の始まりから現在までの状況について詳しく話を聞いた。

フロリダ州日本食レストラン経営者が直面した“現実”

フロリダ州タンパ

外出禁止令が出されたフロリダ州タンパの閑散とした街並み

 フロリダ州保健庁から中国旅行をしないようにというレベル4の勧告が出されたのは3月9日(月)のことだった。そして、その日の夜にはフロリダ州のデサンティス知事から非常事態宣言が発令された。しかし、このときはまだほとんどのアメリカ人はコロナを対岸の火事としか思っていなかった。  週末の15日(日)になっても状況に大きな変化はなかった。テレビのニュースは大統領選に関するものがほとんど。コロナ関連のものは横浜港に停泊しているダイヤモンドプリンセス号についてのみだった。  田中さんがコストコに買い物に行くと、店内の様子も普段とほとんど変わらなかった。トイレットペーパーと水に「おひとり様2個まで」という但し書きは付いていたが、在庫はまだ充分にあるようだった。次に訪れた食べ放題の日本食レストランも同様である。店は混んでおり、客はリラックスした雰囲気で食事を楽しんでいた。  16日(月)、周囲がコロナのことでざわつきはじめるようになった。田中さんの知人の経営するレストランには「店で中国人は働いているか」等の電話がかかってくるようになったという。この頃からアイアイ寿司の売り上げも徐々に減少していった。  17日(火)、州知事からコロナ対策として一連の処置が指示された。バー、パブ、ナイトクラブは営業停止。レストランは入店する客の数を現行の収容人数の50%に、ひとつのグループの人数は10人以内に制限するよう求められた。そのうちレストランも営業停止になるのではないかという不安が頭をよぎるが、それほど心配はしていなかった。  18日(水)、スーパーなどでの買いだめが始まり、店からトイレットペーパーなどの日用品が消えた。また、テレビでは人々がトラブルになるのを見越してか銃が飛ぶように売れているというニュースが流れた。

アイアイ寿司も営業停止に

アイアイ寿司

アイアイ寿司には、日本ではなかなかお目にかかれないメニューも

 20日(金)、ついにレストランに対しても営業停止命令が下され、テイクアウトとデリバリーの営業しか許されなくなった。アイアイ寿司では以前からテイクアウトを行っており、その注文が増えるのではないかという期待があった。が、それほどでもなかった。食料は各家庭で備蓄してあるし、外でお金を使うような気分でもなかったのだろう。  週が明けて23日(月)になると、テイクアウトの注文の電話もほとんど来なくなってしまった。テレビでは一日中大統領がコロナについてスピーチする映像が流れていた。  25日(水)、フロリダ州のタンパを含めたいくつかの群および市町村に対して自宅待機するよう求める外出禁止令が出された。ビーチも閉鎖され、街からは人の姿が消えた。閉店する飲食店もちらほらと出るようになった。  この頃、田中さんの友人が住むハワイはより深刻な状況だったらしい。主産業が観光で、クルーズ船の停泊地でもあったことが原因である。友人の勤めているレストランも営業停止を受け、許されているテイクアウト営業のみを数人で続けていた。が、それもほどなくして廃業。従業員は自宅待機ではなく即解雇された。失業手当の申請を早くできるようにするためだった。
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緊急事態におけるアメリカの底力
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