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競馬の「騎手移動制限」を生かす馬券術。乗り替わりで狙いたい騎手は…

 新型コロナウイルスの影響で、競馬の騎手事情にも変化が起きている。騎手の移動を少なくさせるため、原則、土曜日と日曜日で同一の競馬場で騎乗しないといけないルールができた。これにより有力馬も主戦騎手が乗れなくなるという事態が発生している。これは馬券戦術に重大な影響を及ぼすのは火を見るより明らかだ。  騎手移動制限が開始された4月18日から5月3日までの開催期間で、乗り替わりが発生した馬は2072頭。おおよそ10頭中7頭は乗り替わりとなっており、GⅠを含め多くの重賞が続く今後はさらに乗り替わりが増えていくと予想される。そんな時期だからこそ「乗り替わり」がおいしい馬券を運んできてくれるスパイスになる。移動制限期間も5月31日まで延長され、その先もどうなるかは不透明だ。 (参考資料:「JRA・競馬開催における騎手の移動制限期間の延長について」)
鈴木ショータ

鈴木ショータ氏

 そこで、今回は多発するであろう「乗り替わり」に備えて、とっておきの馬券術を紹介する。(データは2019年のJRA全レース)

そもそも乗り替わりは「買い」なのか「消し」なのか?

 まずはじめに気になるポイントはここだろう。先にデータをご覧いただきたい。 <継続騎乗時と乗り替わり時の2019年データ> 勝率―複勝率―単勝回収率―複勝回収率 継続騎乗 8.6%―24.9%―71%―71% 乗り替わり 6.6%―20.4%―72%―74%  多くの方が想像する通り、乗り替わりでは勝率も複勝率も下がった。乗り替わるということは、馬の癖を知らない騎手が乗ったり、もう勝てないと見放されて騎乗を断られるというマイナス的な要因が確かにある。それを裏付けるように、勝率も複勝率は継続騎乗の方が優勢になっている。  しかし、わずかだが回収率は単勝、複勝ともに乗り替わりの方が高い。これは結局、我々競馬ファンが、「乗り替わり=マイナス材料」と考えすぎて、必要以上に評価を下げてしまうからだ。基本的には、乗り替わりはプラス材料だと覚えて、以下の項目にも目を通していただきたい。

トップジョッキーへの乗り替わり

 乗り替わりの中でもプラス材料となるのが、トップジョッキーへの乗り替わりだ。トップジョッキーの定義としては、ここでは2019年のリーディングトップの川田将雅、ルメール、戸崎圭太、武豊、福永祐一、三浦皇成、北村友一、松山弘平、田辺裕信、M.デムーロ(敬称略)の10人にする。リーディング11位以下の騎手からトップジョッキーへ乗り替わった場合は、以下のような成績になる。 <通常の騎手→トップジョッキーへの乗り替わり> 勝率―複勝率―単勝回収率―複勝回収率 13.2%―36.1%―81%―86% (全乗り替わり 6.6%―20.4%―72%―74%) <トップジョッキーの継続騎乗> 勝率―複勝率―単勝回収率―複勝回収率 17.8%―43.3%―75%―75% (全継続騎乗 8.6%―24.9%―71%―71%)  比較的人気馬に乗ることが多いトップジョッキーでも、回収率が水準以上になるのは大きな発見だ。その理由としては、トップのジョッキーほど、馬の操縦や癖をつかむのがうまく、初めて乗るような馬でも乗りこなせてしまうからだろう。また調教師も、『今回は好勝負になりそうだから、良い騎手を乗せよう!』と、腕のある騎手を確保する傾向もある。  改めて言うが、これはあくまで「乗り替わり」だから妙味のある回収率になるのだ。トップジョッキーでも、ただの継続騎乗では水準級の回収率にしかなっていない。ただ騎手を見るだけではおいしい馬券にはありつけないが、「乗り替わり」というスパイスを加えると、周りのファンよりもちょっといい馬券を当てることができるのだ。
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乗り替わりで狙いたい騎手
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元「競馬エイト」トラックマン(栗東担当)。学生時代には中央、地方を全場渡り歩き、フランス、香港、ドバイまで駆け回っていた、根っからの現地観戦好き。『競馬伝道師』として週刊大衆やモンドTV「競馬バトルロイヤル」などでも活躍している。

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