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競馬の「騎手移動制限」を生かす馬券術。乗り替わりで狙いたい騎手は…

乗り替わりで狙いたい騎手

 乗り替わりのなかでも個人的に注目しているのが北村友一騎手。記者をしていた頃、レース後にお話を伺うことが多かったのだが、いい意味で馬に対して「先入観を持っていないタイプ」だと感じた。つまり、過去の成績などに囚われて、乗り方を決めつけてしまうのでなく、その時の馬の雰囲気で乗ることが多いのだ。そういった騎乗がハマりやすいのがスローの前残りが多発する芝のレースで、実際にすさまじい回収率が出ている。 <北村友一騎手の乗り替わり成績(芝のみ)> 勝率―複勝率―単勝回収率―複勝回収率 13.7%―35.8%―129%―101%  特にスローペースになりやすい2歳戦では、単勝回収率168%、複勝回収率110%と跳ね上がるので、「芝レースは、乗り替わりの北村友一騎手!」と覚えておくと良いだろう。  リーディング上位ではないが、乗り替わりでオススメの穴ジョッキーが鮫島克駿騎手だ。以前にも紹介したが、今後伸びてくるであろう有望騎手だ。北村友一騎手とは少し違ったタイプだが、乗り替わりで爆発力のある騎手だ。それは彼の研究熱心な性格が一番の要因だと考える。  まだ実力のない穴馬に乗ることが多いが、騎乗する前に過去のレース映像を見て、「どう乗れば馬がやる気を出せるか」と、分析することがうまい。乗り替わりのデメリットである、「馬の癖を知らない」というのを、自身の分析力によってカバーしているのだ。実際の乗り替わりでの成績は以下の通りだ。 <鮫島克駿騎手の乗り替わり成績> 勝率―複勝率―単勝回収率―複勝回収率 2.6%―21.9%―175%―124%  今年はカデナとともに小倉大賞典で重賞初勝利をおさめた。今後の活躍も期待したいが、馬券的な妙味があるのは今のうちなので、ぜひご注目いただきたい。  上記2人のパターンは違うが、乗り替わりではこのように、こだわらずに馬任せに乗ったり、逆に徹底的に研究して馬の気持ちに沿う形で乗ることで結果を出すことが多い。ジョッキーのインタビューなどを見て、どんな思考で乗っているのか考えると面白いだろう。  リーディング独走中の川田将雅騎手は珍しい傾向があるので、少し触れておきたい。ここまで「乗り替わり」でこそ妙味のある馬券が獲れる、と話してきたが、川田騎手の場合はむしろその逆になる。継続騎乗での成績が素晴らしいのだ。 <川田騎手の継続騎乗成績> 勝率―複勝率―単勝回収率―複勝回収率 29.7%―59.4%―97%―90%  乗り続けている馬では確実に結果を出してくる。反対に言えば、結果を出せる見込みがない馬には乗らないということだ。毎週予想をしていて、『あれ?この馬、前まで川田騎手が乗っていたのに乗り替わってる。しかも川田騎手は、その競馬場にはいるのに、他の馬に乗るわけでもなく、なんでだろう?』と疑問に思うことが多々あった。ただ、よくその馬を見てみると、確かに能力的に限界に感じたり、気性的な危なさがあったりすることがあった。「勝つべくして勝つ」。川田騎手の場合は、継続騎乗かどうかに注目だ。

トップジョッキーからの乗り替わりは?

 心配するケースとなるのが、トップジョッキーからの乗り替わりだ。前走までトップジョッキーが乗っていたのに、今回は乗っていない。このパターンが馬券を買うときには心配になるだろう。結論から言うと、「気にしなくていい」。リーディング10位以上のトップジョッキーから11位以下のジョッキーへ乗り替わった場合のデータは、以下のようになる。 <トップジョッキー→通常の騎手への乗り替わり> 勝率―複勝率―単勝回収率―複勝回収率 6.3%―20.2%―72%―75% (全乗り替わり 6.6%―20.4%―72%―74%)  数字的にはそこまで悪化するわけはないので、プラスにもマイナスにとらえる必要はない。『人気馬だけど、乗り替わりで大丈夫か?』という不安もあるだろうが、人気馬ほど、我々馬券ファンがそのような不安にかられすぎるがあまりに、期待値は上がる。実際に複勝回収率で見ると、1番人気が83%、2番人気が82%、3番人気が81%と、人気馬ほど高い数値になっている。  今後もコロナウイルスが続く限り、ジョッキーたちも限られたルールのなかで騎乗することが求められるだろう。有力馬も主戦ジョッキーが乗れなくなることが多くなることが予想される。そんな時にも、乗り替わりに迷わされることなく、むしろ儲けられるチャンスだと思って、競馬新聞を眺めていただきたい。
元「競馬エイト」トラックマン(栗東担当)。学生時代には中央、地方を全場渡り歩き、フランス、香港、ドバイまで駆け回っていた、根っからの現地観戦好き。『競馬伝道師』として週刊大衆やモンドTV「競馬バトルロイヤル」などでも活躍している。
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