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コロナによる訓練中止が生活直撃? 予備自衛官の「収入減」問題

山本朋広防衛副大臣から予備自衛官への返事

山本朋広防衛副大臣

山本朋広防衛副大臣

「防衛省では、新型コロナウイルスの感染の拡大を防ぐため、接触機会をなるべく少なくするための取組を進めており、予備自衛官、即応予備自衛官及び予備自衛官補の教育訓練についても、現在の状況に鑑み、中止又は延期しています。こうした措置に関連し、ご懸念の予備自衛官及び即応予備自衛官の手当の取扱いについて説明します(なお、予備自衛官補については類似の手当はありません)。  まず、「予備自衛官手当(月額4000円)」と「即応予備自衛官手当(月額1万6000円)」ですが、これらは、予備自衛官及び即応予備自衛官には訓練に参加する義務があることから支給されるものです。これらの手当については、「正当の事由に因らないで訓練招集に応じなかった場合」等には、支給されない可能性があります。  ただ今回は、新型コロナウイルスの感染の拡大を防ぐため、予備自衛官及び即応予備自衛官が参加する予定の訓練自体を中止又は延期しており、訓練招集を行っていないため、明らかに「正当な事由に因らないで訓練招集に応じなかった場合」に当てはまらないことから、「予備自衛官手当」と「即応予備自衛官手当」はしっかりと支給します。  次に、「勤続報奨金」ですが、これは、勤務成績が良好である即応予備自衛官に対し、1任期(3年間)につき、12万円が支給されるものです。ただし、勤務成績が良好であっても、「任期中に27日を超える不出頭日があった場合」等には、支給されません。  今回の訓練の中止又は延期によって、訓練日程の再調整が必要になる方もいらっしゃるかもしれません。訓練が再開した暁には、即応予備自衛官やその雇用企業のご都合も踏まえつつ、可能な限り年間30日間の訓練が行えるよう、訓練部隊等においても、訓練計画の見直しなどを行っています。  それでも、4月、5月の訓練に参加できなかった即応予備自衛官が、日程の調整がつかないため、所要の日数、訓練に参加することができなくなってしまうケースもあり得ます。このような場合についても、可能な限り、即応予備自衛官本人やその雇用企業が不利益を被らないよう、現在、担当部署に対応策について検討を行うように既に指示をしております。  なお、予備自衛官補の教育訓練については、例年7月から実施することとしているため、現在においては影響がありませんが、今後、中止又は延期の期間が延長され教育訓練を実施することができない状況となった場合には、予備自衛官補本人が不利益を被らないよう検討を行います」

災害派遣で貢献もキーホルダーしかもらえなかった予備自衛官

 この山本防衛副大臣のお返事にホッとしました。不安を感じていた予備自衛官・即応予備自衛官の皆様にぜひ読んでほしいと思います。副大臣は理解してくださっています。声は届いているのです。  以前、この連載で「東日本大震災の災害派遣で頑張った常勤自衛官は防衛記念章がもらえたのに、予備自衛官にはキーホルダーだけしかなかった」という事例をレポートしました。その後、予備自衛官に対しても防衛記念章が授与・着用できるように制度改正されました。「政治家は何もしてくれない」などと最初から諦めるのではなく、理解と気概のある人を探せば少しずつでも山は動きます。  もちろん、全ての問題が一度に解決するわけではありません。どうにもならないこともあります。それでも、真摯に動けば話を聞いてくれる政治家は必ずいます。今回のことで改めてそう思いました。  そういった政治家の方々を応援し、手を携えて問題を一つひとつ解決していくことがこの国をよくしていくことだと信じています。
おがさわら・りえ◎国防ジャーナリスト、自衛官守る会代表。著書に『自衛隊員は基地のトイレットペーパーを「自腹」で買う』(扶桑社新書)。『月刊Hanada』『正論』『WiLL』『夕刊フジ』等にも寄稿する。雅号・静苑。@riekabot


自衛隊員は基地のトイレットペーパーを「自腹」で買う

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