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副業で月10万稼ぐ在宅ナレーター、YouTubeで“マンガ動画”の需要増

 コロナ禍のなかで大きく需要を伸ばした動画コンテンツ。プロからアマチュアまで急速に参入しつつあるが、動画コンテンツで稼ぐことが広く浸透した現在、YouTubeではマンガ動画(マンガのコマをスライドショー形式で動かし、ナレーション音声を入れた動画)と呼ばれるジャンルがトレンドとなっている。  顔出しなしで成立することなどが動画投稿のハードルを下げ、人気コンテンツを生み出す背景の一因にもなっているようだが、こうした動画制作の過程で不可欠な存在が、動画の登場キャラなどに声を当てる“ナレーター”だ。  今回は本業の仕事や家事・育児の傍ら在宅ナレーターとして活動し、現在は週3日、2時間ほどの稼働で月に10万円前後の副収入を得ているというむとうまきこ氏に、ナレーターの仕事が副業として軌道に乗るまでの経緯などをうかがった。

未経験から半年で月10万円前後を稼げるように…

在宅ナレーター

2児の母でもあるむとう氏。子供が寝静まった夜のリビングの一角が仕事スペースで、声を吹き込む際はエアコンなどを切ってなるべく静かな環境をつくるとか

 むとう氏は半年ほど前からクラウドソーシングサイトでナレーション制作の仕事を引き受けるようになったという。 「本業は事務職で声のお仕事は全くの未経験。最初は高価な機材などは必要なく、パソコンにUSBで接続できるマイクを1万2000円で購入しました。子供の頃から市民参加型ミュージカルなどの舞台に立っていて、声を出すのは好きでしたし、手に職をつけて全国どこでも続けられる仕事をできるようになりたいと思い、ストレス発散も兼ねて気軽な感じで始めましたね」  クラウドソーシングサイトのナレーション制作の案件には語りのナレーションだけでなく、キャラクターの声を当てる声優に近い仕事も少なくない。声優といえば若者が憧れる人気職業のひとつだが、中には1人で何役もの声色を使い分ける案件や早口を求められる案件もあるそうで、芝居心のあるむとう氏はそうした案件も積極的に受注したという。 「マンガ動画やLINE動画(チャット画面の掛け合いで話が進む動画)にプラスして広告動画のお仕事が多く、完全な個人のクリエイターさんからの発注よりは“対会社”の案件が割合としては多いですね。クラウドソーシングの仕事では動画自体が送られてくることはほぼなく、絵コンテを見ながら声を当てます。絵コンテも動画コンテではなく完全に漫画の静止画の状態でJPEGの画像が15枚くらい送られ、吹き出しのセリフや原稿を順番に喋っていくという感じです。基本、動画に対してのタイミング合わせなどはクライアントさんが後からやられることが多いですね」  また、ほとんどの案件はノイズ除去という処理をしてから録音データを納品することが前提条件で募集されているため、単にマイクに自分の声を吹き込む以外の作業も必要なようだ。 「全くの未経験だったこともあって下準備はわりと必要でした。他の在宅ナレーターさんのブログなども読んで勉強したり。当たり前なんですけど、案件への応募には自分のボイスサンプルが必須ですし、ノイズ除去の作業は5分の音声に対して早くても30分くらいは掛かります。フリーソフトを使っていた最初の頃はもっと時間が掛かっていましたね」
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動画コンテンツの増加も追い風に
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1988年生まれ道東出身、大学でミニコミ誌や商業誌のライターに。SPA! やサイゾー、キャリコネニュース、マイナビニュース、東洋経済オンラインなどでも執筆中。いろんな識者のお話をうかがったり、イベントにお邪魔したりするのが好き。毎月1日どこかで誰かと何かしら映画を観て飲む集会を開催。X(旧Twitter):@tsuitachiii

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