宗教法人に持続化給付金200万円は必要? お坊さんたちのリアルな声
新型コロナウイルス感染拡大により影響を受けた中小企業や個人事業主を支援するため、政府が打ち出した「持続化給付金」政策。最大で200万が給付されるこの制度を、宗教法人・宗教団体も対象とする案が一時検討されていた。しかし、宗教法人への公金支出は違憲の疑いがあるとして、自民党内から反発が続出。本件はいったん見送りとなった。
宗派・年代を問わず様々な地域の住職に話を聞いたところ、全員が口を揃えて「そんな法案、通るわけがない」と強く否定した。「宗教法人は基本的に非課税。納税していないのに貰う権利はない」との声も多く、当のお坊さんたちも困惑気味だ。
浄土真宗派の寺院で住職を務める枝廣さん(30代)はこう語る。
「給付金を貰ったとしても、意味のある使い方をできるお坊さんはほとんどいないでしょう。そもそも収入のないお寺なんて山ほどある。法人を潰さないための運転資金にはならないです。一般の法人経営とは違うので……。本当に過疎寺院を成り立たせていきたいなら、お金をかけて投資して、別事業を立ち上げなければならない。そういうことを考えている住職は一握りで、ほとんどの住職は潰れる覚悟でやっています」
枝廣さんが指摘する「意味のある使い方」については、別の住職からも同様の意見が出た。
同じく浄土真宗の住職であるAさん(30代・仮名)は、「もし制度として動いた場合、観光寺院は文化財維持のために申請しやすいと思う。金策が上手なお寺はうまく活用するんじゃないか」と前向きに述べた上で、次のように続けた。
「ただ、本当に地道に宗教活動をしているお寺には(お金が)まわらないのでは。うちは宗派と地域柄、そんなに困っていないから、お寺に給付金を配るなら、医療や福祉、農家さんや生産業など社会に直接還元してほしい」
仮に給付金が支給されても、ほとんどの寺院では住職やその家族の生活費に消える。それを果たして「意味のある使い方」かと問われると疑問だ。
また、地域や宗派によって寺院の懐事情は異なり、収益に関しても前年度と比較しづらいという問題点がある。観光寺院は新型コロナによる打撃が顕著で、前年度との収益比較がしやすい。一方で檀家や門徒で成り立つ地域のお寺は、年単位で見れば減っているものの、月単位の収入減少が見えにくい。仮に宗教法人への給付金案が成立しても、書類申請時に手続きが困難となる可能性が高いだろう。
宗教法人への給付金案に対し、お坊さんたちはどう捉えているのか。リアルな本音を取材した。
「貰えるわけがない」全員が否定
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福岡県出身。フリーライター。龍谷大学大学院修了。キャバ嬢・ホステスとして11年勤務。コスプレやポールダンスなど、サブカル・アングラ文化にも精通。X(旧Twitter):@0ElectricSheep0、Instagram:@0ElectricSheep0
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