再発防止に向けて早急な対策が必要だ

送検される野津英滉容疑者(兵庫県宝塚市) 写真/朝日新聞社
宝塚市一家4人殺傷事件を受け、菅官房長官はボウガンの販売・所持の規制について「必要に応じて検討」すると述べた。だが、そもそもなぜボウガンはこれまで銃刀法で規制されていなかったのか。刑事事件に詳しい弁護士の齋藤裕氏が話す。
「ボウガンを使った犯罪件数は全体的に見れば少なく、またスポーツでも使われるので、規制は難しい。一方、’08年、秋葉原通り魔事件では凶器に殺傷能力の高いダガーナイフが使われ、7人が死亡しました。ダガーナイフはスポーツで使うことはないので、翌年には規制されています」
齋藤氏は、ボウガンの所持をクレー射撃銃のような「登録制」にするべきではないかと提案する。
「以前もボウガンを規制対象にすべきという議論がありました。そのときも政府は『慎重に検討する』と。しかし、今回は過去に類を見ない悲惨な事件。ボウガンそのものによって3人も殺されていますから、規制は必要という前提で議論すべきです。野放しにせず、クレー射撃銃のようにルールのなかで許可を得た人が使えるようにすればいいのではないでしょうか」
いつまでも「検討」ばかりでは、事件はなくならない。
<取材・文/押尾ダン・武馬怜子・野中ツトム(清談社) 写真/朝日新聞社>
※週刊SPA!6月23日発売号より