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一家心中があった物件に、家族で住んでみた男の恐怖体験

 “事故物件住みます芸人”や“事故物件公示サイト”が取り沙汰される機会が増えた。今から10年ほど前、一家心中のあったいわくつきの物件に家族全員で暮らしていた男がいる。身のまわりには、次々と得体の知れないトラブルが起きた。その恐怖は、今も続いているという……。

何も知らない家族のもとに次々とトラブルが!

 雑誌『裏モノJAPAN』(鉄人社)で09年6月号~11年11月号にわたって連載された「心霊物件に住む 豊島マンション205号室」「春日部コート508号室」が、『一家心中があった春日部の4DKに家族全員で暮らす』(鉄人文庫)として書籍化された。
建部博

元『裏モノJAPAN』編集部員の建部博氏

 元となっている連載は入居者4人が連続して夜中にうなされ、鬱病を発症してすぐに退去したという東京・豊島区のいわくつきの心霊物件に住み、自身や友人に何が起こるか体を張ってレポートする実験企画。さらに、連載中に結婚や奥さんの出産を経た著者は、新しい家族と一家心中があった4DKの埼玉県春日部市近辺のマンションに移り住む。  ……が、何も知らない家族のもとには次々とトラブルが降りかかる。今回は、著者の建部博氏に当時の心境や家族の近況などを聞いた。

事故物件に家族全員で住んでみた男の近況

――心霊物件の部屋でご自身も早々に鬱を発症して失踪していますが、連載中、一番背筋が凍った体験は何ですか? 「当時、何も知らない小学生の妹(※霊感がある)を部屋に連れてきたのですが、『白いものが見える』と。絵に描いてもらうと、まるで心霊写真のようで。さすがに少し怖くなりましたね」
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当時は小学生だった妹が描いた絵。この白いものはいったい何なのか

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流し台の上に白いシミのようなものが…

――連載3回目には、編集部から“飛んで”ますね。 「そうなんです。締め切り直前で急に会社に行きたくなくなって、仕事も全部ほったらかしてバックレたんです。結局、1か月くらいで編集部に戻るんですけど……あの時はとにかくだるくて。鬱になる部屋と聞いていたので、幽霊に背中を押されたというか。“言い訳”として鬱が通用するんじゃないかという気持ちもあったかもしれません(笑)」 ――建部家の身内に起きた不幸やドタバタが際立っていますが、いま心霊現象についてどう考えていますか。 「最初からそこまで本気では信じていないというか。最初は心霊事件を探す意識も当然ありましたが、どちらかというと途中から『嫌なことが起きたら全部心霊のせいだ』と割り切って、『どうせこんな家族だし、ネタにしないと浮かばれない』と。どうかしていましたよね。  新婚早々、嫁が浮気してラブホに乗り込んで2人ともボコボコに殴って警察呼ばれるとか、下流の痴話喧嘩みたいなこともあり、この連載がなければ気づかないような家族の嫌な部分も目について。心霊が存在するかどうかはともかく、住まなきゃよかったとは思っています」 ――連載自体、最後は心霊に全く関係ない、奥さんとのセックスレスの話で終わったようですが(※このエピソードは書籍には未収録)、奥さんやご家族の連載に対するスタンスが不思議ですね。 「基本見て見ぬフリですね。家族に内緒で撮影して雑誌に載せていたので、途中から雑誌も持ち帰らないようにしていました。直接なんか言ってくることはないんですが、嫁が中学時代の同級生なので共通の友人がチクるとかはありました。今回の書籍化についてもSNSで書いたら嫁に連絡がいったらしく、『また何かしてんの?』みたいなこと言われて」 ――これ、ネットニュースにして大丈夫なんですか……。ご家族の近況はどうでしょう? 「僕の母親と嫁が仲悪くなっちゃって、僕も実家と疎遠になってしまったので、実はあまりわからないんです。原因は……嫁が母親、僕の嫁からすると義母の悪口を僕の弟の奥さんにLINEで言いふらした結果、弟の奥さんが『そんな義母さんとはやっていけない』と嫌気が差したらしく離婚してしまい……。  母は『お前の嫁マジでどうなってんだ』という感じでバチバチです。僕としては一緒に暮らす嫁に味方するしかなく、2年ほど実家に帰っていません」 ――豊島区の部屋で家族揃って鍋パーティーをやっているのが、いまどき微笑ましいなと思いました。ヒモ自慢してくる義父もいましたよね。 「連載が終了したあとにも、カネの無心は何回かありました。新しく付き合った女に生活費を出してもらっていたらしいんですが、いよいよ別れて家賃が払えないから30万貸してくれとか。そんなことばかりです。今は毎月2万円ずつ返してくれているはずですけど」 ――6年間行方不明だった実のお父さんが突然現れたと思ったら、半年ほどでお亡くなりになって。心中お察ししますが、昔からこういうご家庭だったんですか。 「父親は酒癖が悪くて仕事が続かなかったり、母親も浮気して家からいなくなったり、子供の頃は両方から迷惑をかけられました。この本に母親と、恋人のサイードという名前のイラン人男性の話が少し出てきますが、僕の中では『またか』という感じで。連載を続けるほどカネ貸してくれだのなんだの、いま思えば毎月複雑な気分でしたよ。『僕以外の他の人も口にしないだけで、こんなにいろんなことが起こるものかな』とか思いますね」
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悪いことが起きても「全部呪いのせいだ」
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一家心中があった春日部の4DKに家族全員で暮らす

雑誌『裏モノJAPAN』の企画で2軒の「事故物件」で暮らした、オレと家族の身の回りに起きた出来事すべて !

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