仕事

夏のボーナス、手放しで喜べない人たち。大手の平均額(92万円)以上もらえても…

“ボーナスをもらえるのが当たり前”ではなくなる

瀬戸際 前出の2人はまだ生活ができているだけマシなのかもしれない。  一応は「ボーナス」をもらっているものの、ボーナスありきでなんとか生活をしてきた人たちは、命の危険すら覚えている。千葉県在住の小売店チェーン本部勤務・坂本正明さん(仮名・30代)がうったえる。 「うちの会社は、月の基本給が12万円ほど。これは年齢を重ねようが昇進しようが変わりません。世間的にはグレーなやり方なのですが、こうすることで会社が払う各種保険料が安くなるのです。そのぶん、手当や年4回のボーナスがあり、我々はやっと人並みのお金がもらえていました。ところが、コロナの影響で春のボーナスは半減の30万円、夏4分の1の15万円、秋は小遣い程度で冬は出ない可能性が高い」(坂本さん、以下同)  ボーナスとは、あくまでも会社の業績に応じて支払われるものだが、受け取っている側は「毎年もらえるもの」と錯覚してしまう傾向がある。坂本さんの場合も同じだった。6月には住宅ローンのボーナス払いが控えていたが、ローン会社には事情を伝え、数か月先まで支払いの先送りをお願いしたという。 「皆さんにとってのボーナスと、私のボーナスは意味合いが違います。ボーナスを、臨時のご褒美的なものとして喜べる人たちが心底羨ましい」  夏のボーナスが200万円近くだという大手IT企業社員たちからも「冬は怪しい」との声が聞こえ始めた昨今。これも「当たり前のことが当たり前でなくなる」というウィズコロナの「新しい生活様式」の一面だとしたら……。  いつの間にか「ボーナス」も本当に一部の特権階級しかもらえないものになっているのかもしれない。<取材・文/森原ドンタコス>
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