仕事

ボーナスをもらえない非正規スタッフたちの怒り「正社員と一緒に働くのがバカらしくなる」

「もう少し上がると思ってたけどな……」 「だな、でもまあ欲しかった時計買って、残りは嫁さんの両親でも連れて旅行かな!」 サラリーマン 12月上旬、千代田区内の大手上場企業の喫煙室で支給されたばかりのボーナスの使い道を話していたのは、入社10年目未満の若手社員二人。彼らは時計はどのブランドにする、旅行は温泉地がいいなどと賑やかに言い合っていたが、「あっ!」っと声を上げた後、押し黙ってしまった。次にお互いの顔を見合わせると、タバコの火を消し、そそくさと喫煙所を出て行った。  二人のほかに喫煙所にいたのは、同社の契約社員として働く藤村さん(30代・仮名)と、外部の下請け企業から派遣されて同社で働いている金丸さん(40代・仮名)だ。

なぜ正社員じゃないとボーナスをもらえないのか?

「ごく一部のスタッフ(正社員)を除けば、我々はボーナスなんてもらえません。以前はそもそも契約社員とか派遣社員に垣根はなく、同じところで働く人間として平等に評価されたし、ボーナスも出た。それが、いつの間にか貴族階級と貧乏人にふるい分けられていた感じですね」(金丸さん) 「正社員様にはボーナスが出る、我々には出ない。社員の二人は我々がいることに気が付き、バツが悪そうに喫煙所を後にしましたけどね。はっきり言って、彼らと同等以上の仕事をしている自負はある。そりゃ総合職の正社員が会社人事に逆らうことができないとかいろいろあるとは思いますがね」(藤村さん)  毎月の給与ですら、非正規スタッフは正社員の三分の二かそれ以下。さらにボーナスまでもらえないとなれば、会社で働く人間の間に微妙なパワーバランスが生まれるのは無理もない。給与が高くボーナスまでもらえる社員は、たとえ仕事が出来なくても偉く、非正規スタッフは彼らに逆らえない、そんな空気が生まれる。  もちろん、これではみんなで一丸となって仕事をしよう、プロジェクトを成功させようなどと思うのは正社員だけで、非正規スタッフは冷ややかな目で彼らを見る。当然、生産性は落ちるのだ。  非正規スタッフが多い職場であればあるほど、ボーナスをもらえるかもらえないか、いうなれば“正社員”と“それ以外”という関係差が生み出す弊害は大きい。  現在、非正規雇用者(※)は2036万人にものぼり、雇用者に占める割合は、男性で21.3%、女性で55.8%(2017年労働力調査)。また、ボーナス制度の対象となる割合は、正社員86.1%に対して、非正規は31.0%しかいない(平成26年就業形態の多様化に関する総合実態調査の概況、厚生労働省)。  世間がボーナスに浮かれているこの季節に、非正規であるがためにボーナスをもらえない人は数百万人いるわけだ。
お金

ボーナスが支給される時期、社員と非正規スタッフの間では温度差が大きい

非正規スタッフの多い業界では内部崩壊寸前!

 バラエティ番組制作会社に所属し、都内のテレビ局に常駐し業務に励んでいる佐々岡さん(40代・仮名)はこう証言する。 「テレビ業界の非正規社員率はハンパありません。ひとつの番組に社員が二人しかつかず、そのほか30人くらいの我々外部スタッフがぶら下がる形で仕事をしています。だからか、テレビ局の社員が、我々の前で大っぴらにボーナスの話をするのはどこかタブーとされていますが、中には思慮のない人もいます」(佐々岡さん)  夏と冬のボーナス時期になると、社員が必ず「ボーナスも出たし飲みに行こうぜ!」と誘ってくるのだという。当然、社員様に外部スタッフが逆らえるわけでもなく、問答無用で居酒屋に連れていかれる。「関係性」については把握しているはずの社員だが、勘定は毎度必ずワリカン。ほとんどパワハラに近い飲み会でさえ、懐が凍えそうなADなど末端スタッフにまで会費を要求してくるというのだ。 「今日はボーナス日だから少し高い店に行くぞ、なんて。我々にとってみりゃ、迷惑でしかありませんよ。さらには、正社員はいかにツラいかなどと、酔って延々と語るのを黙って聞いていなければならず、まずい酒がさらにまずくなる」(佐々岡さん) ※非正規雇用者(契約社員、パートタイム、嘱託、派遣、臨時雇用など)
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新しい法律で、“ボーナス差別”はNGになるが…
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