地下カジノ、違法風俗、薬物密売etc.
本場の中華料理が食べられると近年、人気を博している埼玉県・西川口。大多数の善良な在日中国人は地元に溶け込んで暮らしているが、水面下ではきなくさい動きが起こっている。取材班が現地で見たものは!?
6月に摘発された違法カジノ賭博店摘発当日の様子。多くの報道関係者や野次馬が見守るなかバカラ台などを押収。計18人が逮捕された(写真は関係者提供)
6月13日の夜、新型コロナウイルスの影響で人通りもまばらな埼玉・西川口駅前の街の暗がりを、警察車両の赤色灯が染めた。雑居ビルの一角でバカラ賭博を行っていた違法カジノが、摘発されたのだ。
「賭博場開帳等図利などの罪で、関東の指定暴力団傘下組織の幹部らが逮捕されました。県警に情報提供があったことが摘発のきっかけでした。大きなバカラ台が警察によって運び出されたとき、野次馬から歓声が上がりました。地元関係者によると、西川口にはこの店のほか、中国系や韓国系など3~4店舗の違法カジノがあるそうです」(大手紙社会部記者)
駅西口を出ると中国語だらけ。グルメ通も唸る有名な中華料理店も多い(※写真はイメージ、本文とは関係ありません。以下同)
今、西川口では裏社会の勢力図が変わりつつあるのだが、その前にまず、この街の歓楽街としての特殊な歴史から紐解く必要がある。
’90年代後半、当地にあった店舗型ヘルスは、こぞって本番行為を売りにし始めた。違法な過剰サービスは「NK流」という名前で全国の風俗ファンにその名を轟かせ、最盛期には200店舗を超えたといわれている。だが、不思議なことに摘発されることはなかった。
事情が変わったのは’04年頃。石原都政下での「歌舞伎町浄化作戦」に足並みをそろえるかのように、埼玉県警が西川口駅周辺を「風俗環境浄化重点推進地区」に指定したのだ。以降、NK流は封印されることとなり“正規店”としては数店のヘルスやソープランドを残すのみとなった。
「空きテナントとなった元風俗店舗などに、中国系の飲食店やマッサージ店などが入居するようになった。都内にもアクセスがよく、家賃も安いとあって留学生なども増え、街全体が中国化していったのです」(駅前の飲食店店主)
西川口を含めた川口市は、在留外国人の数が全国3位。うち約6割が中国人だ(’19年、法務省統計)。有名な中華料理店も増え、今では「ネオチャイナタウン」としてテレビで紹介されるまでに。
そんないきさつがあった西川口では今、何が起きているのか。8年前からこの街で違法マッサージ店を営む広東省出身のYさん(女性・40代)は言う。
「私はもともと新宿・歌舞伎町のお店で働いていたんだけど、独立して自分の店を持つために西川口に来た。元風俗だった空き店舗がいくつもあり、賃料も歌舞伎町や池袋の半額以下だった。ウチみたいな手コキまでの店の場合、ヤクザがみかじめ料を請求してくることもなかったですね」
しかし、2年前からその牧歌的な風景が変わり始めたという。
「東北グループ(中国東北3省出身者で構成されるマフィア)が、みかじめ料を請求しに来るようになったんです。『こっちのほうが古株なのに、払いたくない』と突っぱねていました。しばらくして、早朝に店を閉めて帰ろうとしたら、突然、後ろから何者かに強く押さえられ何度も蹴られた。2人組の男は東北訛りで『次は殺すぞ』と言って立ち去りました。みかじめ料を要求していたグループの一味でした。私は唇を4針縫う大けがを負いました」
Yさんはその後、さらに危害を加えられることを恐れ、埼玉県内の別の場所に店を移したという。
西川口に進出している中国系の違法業者は風俗店だけではない。
「西川口には、中国系の格安人材派遣業者がある。解体工とか軽作業用のスタッフを相場の7~8割で派遣してくれるんだけど、安さの秘密は彼らがみな不法滞在者ってこと。使う側はみんな気づいてるけど、『ビザあるの?』なんて無粋なことは聞かないよ」(埼玉県内で建築業を営む男性)
さらに、薬物汚染も深刻だ。西川口に住む中国人留学生は匿名を条件にこう明かす。
「中国のチャットアプリWeChatでは、覚醒剤や大麻などの違法薬物の取引も行われていますが、その受け渡しの場所として利用されるのが、西川口の違法カラオケ店の個室なんです。自己使用目的の中国人以外にも、日本人プッシャーが都内で販売するため仕入れに来ることもあるそうです」
若い中国人女性にとっては、この街はさらに違った一面を持っている。都内の大学院に在籍する中国人女子留学生の話。
「私にとって西川口は美容の街ですね。日本ならクリニックでしかやってもらえない、ボトックスやヒアルロン酸の注射、二重整形などをマンションの一室でやってくれる無許可の美容サロンがたくさんある。私も以前、医療機器を使ったレーザー脱毛のために通っていました。価格はクリニックの3分の1くらいでしたね」
このほかにも、西川口にはヤクザと結託してオレオレ詐欺を行う中国人グループや、海外に盗難車を輸出する犯罪に手を染める中国マフィアも存在するという。