お金

『Fortnite』アプリ削除騒動で転売ヤー暗躍、中古スマホが120万円

現代の「チューリップバブル」

 週刊少年ジャンプで連載されていた漫画『アクタージュ』の刊行停止は、単行本の高額転売を発生させた。それと同じように、Fortniteのアプリの配信停止はそれをインストールしている端末の高額転売を促してしまった。  中間マージンを承知でそれを手に入れてFortniteをプレイしたい、という人は確かに存在するだろう。しかしこの転売行為は、紛れもなく投機である。1637年のオランダで発生したチューリップバブルのような光景だ。  チューリップの球根が高騰したことがきっかけで、商人はおろか一般庶民も転売のためだけに球根を買うようになった。この年のオランダでは仕事道具を質に入れて球根を手に入れた大工や、畑と球根を引き換えにした農民も出現した。インターネットというものがある現代では、そうしたバブルがしばしば発生する。Fortniteインストール済みのスマホは、まさに「チューリップの球根」だ。  それは即ち、バブル崩壊が必ず待っているという意味でもある。

ライセンス違反の可能性

Apple

画像は、Appleの「Apple メディアサービス利用規約」より

 上記のような転売品は、この記事を執筆している8月末の時点ですっかり見かけなくなった。FortniteがインストールされているApple製品の売買は、ライセンス違反に問われる可能性があるからだ。  Appleデバイスを第三者に売却する場合、そのデバイスからライセンスアプリケーションを削除しなければならない。  今回の「Fortniteバブル」は、正味3日間の短い夢だった。数十万円で購入したのに、それを転売できず途方に暮れる者も相次いだはずだ。転売行為とは投機行為……というよりも、もはや「賭け」である。失敗したら、手元に残るのは誰も見向きもしない商品のみ。ネット転売とは、決して「気軽に稼げる行為」ではないようだ。<文/澤田真一>
ノンフィクション作家、Webライター。1984年10月11日生。東南アジア経済情報、最新テクノロジー、ガジェット関連記事を各メディアで執筆。ブログ『たまには澤田もエンターテイナー
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