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世帯年収300万円以下は家を失う可能性あり。路上生活は他人事ではない

“住まい”から先に失っていく

 大西氏いわく、路上で生活している多くの人は、日雇いや派遣などの仕事をこなし、月5万~10万円程度の稼ぎのあるケースも多いという。しかし、その程度の額では最低限度の生活を維持することすら難しい。こうして人は困窮すると、衣食住のうち、“住まい”から先に失っていくのだ。
「家なき中年」衝撃ルポ

相談に訪れる人の多くはアルバイトや派遣などの非正規雇用。不安定な雇用形態ゆえにコロナ不況のあおりを真っ先に受けた

「これまで、年収200万円程度でバリバリ働いてきた人が、新型コロナ不況で一気に困窮して住む場所が脅かされています。その事態を目の当たりにすると、問題の根深さを感じますね」

年収300万円以下の世帯は39.6%

 ’17年発表の国税庁「民間給与実態調査」によると、年収300万円以下の世帯は39.6%と多くの割合を占める。数字だけで見ると4割近くがいつ家を失ってもおかしくない状況だ。 「リーマンショックのときは、製造業を中心に非正規雇用者が派遣切りなどに遭い、家を失うケースが多かった。しかし、今は全産業がダメージを受けていて、あらゆる職種の人が相談に訪れます」  彼らが抱えている問題は決して他人事ではないのだ。 大西 連【大西 連氏】 認定NPO法人自立生活サポートセンター・もやい代表。任意団体新宿ご飯プラスの共同代表も務める。国内の貧困問題に取り組む。著書に『絶望しないための貧困学』(ポプラ社)がある。 <取材・文/週刊SPA!編集部>
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