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「生活保護」は恥ずかしいことではない。SOSを出せない中年男性たち

 人々の健康を脅かし、経済活動を停滞させた新型コロナウイルス。結果、人間的な生活を営むために必要な“家”まで奪われる人が増えているという。もしも窮地に陥った場合、我々はどうするべきなのか。特定非営利活動法人ほっとプラスの相談員の髙野昭博氏に話を聞いた。 「家なき中年」衝撃ルポ

誰もが家を失うリスクのある時代に突入

 「今の時代、誰もが家を失うリスクを抱えています」と話すのは、特定非営利活動法人ほっとプラスの相談員の髙野昭博氏だ。自身も元老舗百貨店の社員で3000万円の貯蓄があったが、認知症の母親の高額な買い物代、介護代、葬儀代に消え、生活が困窮。路上生活を余儀なくされた経験から、「悪いタイミングが重なると、容易に家を失ってしまう」と説く。 「4月半ば、非正規雇用者を中心にコロナで困窮し、生活がままならず、住宅確保が難しいという電話相談が寄せられていました。しかし、月末には正社員からの電話相談も増えています。  4月末には千葉のタクシー会社で正社員が全員解雇される事例もありましたし、一度つまずくと非正規雇用でなくとも、住まいの安全が脅かされる恐れがあるのです」
「家なき中年」衝撃ルポ

ほっとプラスは路上生活者や困窮者への相談支援も行っている


最後のセーフティネット「生活保護」への抵抗感

 本来なら、家を失う前の段階で支援を受けるべきだが、多くの男性が自ら進んでSOSを出せず、路上生活まで追い込まれてしまうケースも多い。髙野氏は最後のセーフティネットである生活保護の受給も選択肢に挙げるが、受ける側の心理的ハードルも問題だ。 「中年男性の特徴として、生活保護に対する抵抗感があります。恥ずかしいとか、国の世話になりたくないとか。しかし、今は非常時だから、コロナが収束して落ち着くまで一時的に救済してもらうというふうに考えをシフトしてみていいのではないでしょうか」  誰もが家を失うリスクのある今、「国に助けられるのは恥」というスタンスは、自らの首を絞めることにほかならない。
「家なき中年」衝撃ルポ

「一度困窮したら、ひとりの力ではどうにもできません。周囲に頼ることが必要です」(髙野氏)

【髙野昭博氏】 介護離職をきっかけに自身も路上生活を経験。現在はほっとプラスで生活相談のほか、避難者支援・生活困窮者支援を行っている。 <取材・文/週刊SPA!編集部>
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