仕事

「助けて下さい」と紙に書いて路上生活…コロナで仕事がない41歳の叫び

 新型コロナの影響が、過去に例のないスピードで拡大している。自粛、休業、感染リスク……今は全国民が何かしらの影響を受けている状況だが、なかでも大きな被害を受けているのが、以前からギリギリの暮らしを続けていた生活困窮者たちだ。元から脆弱だった生活基盤が、一気に崩壊しかけている。

元ネカフェ難民:激務、失業、新型コロナ。ネカフェ代すらなくなった

コロナ貧困の絶望

定時制高校を卒業後、職を転々とし、ようやく落ち着けた介護施設が倒産。住み込みで働ける就職先を探していたが……

「普通の会社員より感染しにくいと思います。だってずっと屋外にいますから」  4月初旬、緊急事態宣言が出る直前の新宿駅前で「助けて下さい」と書かれた紙を持ち、路上に立つ男性の姿があった。小川康英さん(41歳・仮名)は、すでに半年以上、失業状態にあるという。 「前職は訪問介護の会社で正社員でした。毎日14時間ほど拘束される激務でしたね。12年間勤めていましたが昨年8月に倒産してしまって。驚いたのは毎月雇用保険料が天引きされていたはずなのに実際には加入されていなくて、倒産しても失業保険がおりなかったことです。社員寮も2週間以内に退去となり、収入だけでなく部屋まで一緒に失いました」
コロナ貧困の絶望

日中の公園で話しかけてくるのは高確率で生活保護費をピンハネしようとする貧困ビジネスの勧誘だという

 実家は貧しく幼い頃から父親に虐待を受け、地方に暮らす親兄弟とは母親が亡くなったのを最後に連絡はとっていないという。 「路上生活にまでなったのには、少しでも経験を評価してもらって条件のいい仕事に就こうと、職探しを焦らなかった影響もあると思います」  数か月間、ネットカフェを拠点にしながら職を探したが、貯金がゼロに。1月半ばからは新宿中央公園やバスタ新宿のタクシー乗り場を寝床に路上生活をしていたという。 「役所に生活保護のことを相談しに行ったら水際作戦であしらわれ、炊き出しがどこでやっているのかも教えてもらえませんでした」

緊急事態宣言で日払いの皿洗いもなくなる

コロナ貧困の絶望

現在の小川さんの持ち物はこれがすべて。これらを2つのバッグに詰めた放浪生活。食事は一日1食も食べられない日が増えたという

 貴重品入れ、歯磨きセットやコンタクトなど生活用品、楽な服の上下1セット、下着、ユニクロのダウンジャケット、それにコンビニの割り箸やスプーン。それらを詰め込んだ手提げかばん2つが所持品のすべてだ。キャッシュカードの入ったリュックは、路上生活になって日が浅い頃、公園で寝ている間に盗まれてしまった。 「ただ、外出自粛が本格的になるまでは個人経営の居酒屋に頼み込んで忙しい時間帯に皿洗いをさせてもらっていたんです。その日働いた分を現金でもらい、まかないも出てありがたかったですね」  しかし、都内で新型コロナウイルスの感染が拡大し緊急事態宣言が出されたことで繁華街の賑わいも消沈。頼りにしていた飲食店での日銭稼ぎもできなくなった。 「皿洗いばかりでは先のことも見えないので寮や住み込みで働ける求人に当たっていますが、コロナの影響でどこも『これからどうなるかわからなくて採用どころではない』と門前払い。以前は話くらいは聞いてもらえましたが……」
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年収100万円で生きる-格差都市・東京の肉声-

この問題を「自己責任論」で片づけてもいいのか――!?
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