ライフ

3密回避で人気急増のアウトドアに“迷惑キャンパー”が急増のワケ

うっかり“迷惑キャンパー”になってしまう初心者キャンパー

キャンプ場

マナー違反の客により汚されたあるキャンプ場の炊事場。炊事場に炭を捨てたり、砂や泥を洗うのはマナー違反とされており、そのまま放置していくのはもってのほかである

 もちろんのことながら、迷惑を掛けずに楽しくアウトドアライフを送りたいものである。では、どうしたら迷惑を掛けず、トラブルを起こさずににアウトドアを楽しむことができるのだろうか。アウトドアライターの三浦晋哉氏に現状と対処方法を聞いた。 「迷惑キャンパーというと、集団で騒いでゴミを巻散らかして……という無法者のイメージがありますが、私がいろいろなキャンプ場の方から聞く限り、そういったケースは非常に少なく、実際は悪気はないものの図らずも迷惑を掛けてしまったキャンプ経験の浅い方が多いようです。  夜、食事をして酔っ払ってしまい、料理をそのまま置いて寝てしまって朝になったら動物たちに荒らされてゴミが散乱していた……なんて話も聞きます。場所によっては熊が出るところもあるので、食料品は片付けて寝るというのは慣れている人からすると当たり前のことです。  こういうことは、慣れている方やキャンプ場の方が教えることなのですが、最近はグループで行くこともできないため、慣れている方と一緒に行けずに単身でバーベキューの延長のような気持ちで行ってしまう初心者の方が増えているのです。キャンプ場もコロナ感染防止のため、受付を簡素化しているところも多く、説明不足になってしまうケースも増えていますしね」  どうやら、迷惑キャンパーと言えども傍若無人な振る舞いをすると輩ではなく、初心者キャンパーによる“うっかりな行動”がトラブルを引き起こして周囲に迷惑をかけてしまっているようだ。また、三浦氏はコロナの影響で密を回避するため、キャンプ場内における人間関係が希薄になっていることもトラブルを大きくしている原因ではないかと指摘する。 「以前なら隣同士のサイトの人と気軽に挨拶をしたり、何かあるとちょっとした声かけをして……という光景が当たり前でした。しかし、三密回避のためにサイトも間隔を空け、できるだけ接触を控える傾向にあるので挨拶もままならない。  挨拶をして少しでも関係性ができていれば、テントやタープの設営など困っていると、『手伝いましょうか?』とか『すいません! ちょっと初めてでわからなくて……』なんてやり取りも容易になりますし、夜騒いでうるさいなぁと思ったときも『すいません。ちょっと静かに……』と言えますが、そういう関係がないと『なんだ、あいつらは……』みたいに思ってしまうこともあります。ちょっとしたことでもトラブルに発展しがちなのです」

キャンプ動画が悪影響も……

 では、キャンプ道具を巡るトラブルに、初心者はどう対処したらいいのだろうか。 「大袈裟かもしれませんが、キャンプ道具は命を守るものです。そして使い方を間違えると命を落とす危険性を孕んでいます。以前、ある女性がSNSでキャンプ場から実況したのですが、ガスバーナーの使い方を誤り、ガスが漏れて引火して爆発事故を起こしたことが話題になりました。最近は通販でキャンプ道具を購入する方が増えていますが、心配ならアウトドアショップで店員から説明を受けてから買った方がいいでしょう。  特にテントなどは設営してくれるお店もあるので、実際に建ててもらうといいでしょうね。わからないまま使うことは本当に危険なので、説明書を読むだけでなく、最近はメーカーが使い方を動画でアップしているので不安ならしっかり見てから使うことをオススメします」  だが、この動画が“くせ者”だとも……。 「タレントの方などが焚き火やキャンプをする動画を見て始められる方が増えています。動画では彼らはたやすくギアを操って、焚き火をして料理を作り……とやっていますが、それは経験があって慣れているからできるのです。しかし、動画を見てると自分もできると錯覚してしまう方も多いんです。こうした動画はキャンプの魅力は詰まっていますが、キャンプの全てではないんです」  ここ数年は空前のアウトドアブームと言われている。誰でも“初めて”はあり、間違うこともある。だが、そうしたトラブルを回避するための準備はできるはずだ。また、自然の中で過ごすため、危険とも隣り合わせであることは肝に銘じる必要がある。河原でバーベキューをする感覚でキャンプに行くことは、非常に危険なのだ。楽しくアウトドアライフを送るためにも、下準備と勉強は必要なのである。 取材・文/長谷川大祐
日刊SPA!編集。SPA!本誌では谷繁元信氏が中日ドラゴンズ監督時代に連載した『俺の職場に天才はいらない』、サッカー小野伸二氏の連載『小野伸二40歳「好きなことで生きてきた~信念のつくり方~』、大谷翔平選手初の書籍となった『大谷翔平二刀流 その軌跡と挑戦』など数多くのスポーツ選手の取材や記事を担当。他にもグルメ、公営競技の記事を取材、担当している
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