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ボーナス激減でローンが返せない…… 「応急処置」と「予防策」を専門家に聞いてみた

通帳を睨む

(写真はイメージです)

【応急処置②】固定費をゼロから見直す

 返済の猶予や返済方法の変更を認めてもらえたとしても、当然ながらいずれはその分を返済する必要に迫られる。コロナ収束の見通しが立たず、収入アップへの明るい材料がない以上、支出を減らして家計を立て直すことが急務だ。 「猶予期間は貯金積立も一時的にストップ、民間保険の保険料も、多くの保険会社が保険料払込猶予の措置をしています。一時的にストップできるものは止めて返済に回すようにしましょう。そうしたうえで、すでにある貯蓄は取り崩さないのが鉄則です」

【応急処置③】公的制度をフル活用せよ

 もちろん支出のスリム化も限度がある。収入減を補填するためには、公的支援を頼ることも忘れずに。 「すでに10万円の特別定額給付金を手にした人は多いはずですが、意外と見落としがちなのが自治体独自の公的制度。コロナ禍において、国の施策とは別に自治体ごとにコロナ困窮者を支援する制度が多数設けられているのです。とはいえ、自分がどの給付金の対象に当てはまるのか自力で探すのは慣れない人には難しい。  そんな人には、家計簿計簿アプリ「Zaim」に搭載された「わたしの給付金」機能をオススメしています。居住地や年齢など自分の属性を入力することで、自分が利用できる制度を確認できるので、まずはチェックしてみてください。こうして、使えるものは何でも使う。そのためにもこまめに相談窓口に足を運んだり、情報収集をするなど自助努力が必要だと思います」
zaim

居住地域や世帯構成などから「もらえる可能性がある給付金や手当・控除」を算出してくれる。無料で利用できる

 こうした応急処置で凌ぐべき期間の目安は、最長で半年。その期間、さまざまな策を練ってもどうしても首が回らない場合は、「つらいですが、家を手放すことも視野にいれるべき」(黒田氏)だという。 「家を売る、という決断は家計に体力があるうちにすべきです。ローン返済を数か月延滞するほど困窮してからでは手の施しようがなく、市場相場よりも大幅に安く競売にかけられ、家を売っても多額の負債だけが残る最悪の状況に陥ってしまいます。もうひとつ、なにより絶対に避けたいのが、新たに借金をすること。借金返済に新たな借金を重ねても、その場は凌げても新たな破綻リスクが増えるだけです」

コロナ禍を「家計の棚卸し期間」にすべき

 実際に返済に苦労した際の“応急処置”を経て、次に取り組みたいのはローン破綻の“予防策”だ。 「コロナ禍は、ビジネスからプライベートまで、あらゆる社会生活での不要不急のものをあぶり出しました。これは家計も同じです。ぜひこのタイミングで家計には、なにが必要でなにか必要でないか『棚卸しの期間』としても捉えてみてください。そうすればおのずと、無理なローンを組むこともなくなるはずです」  このコロナ禍では、企業も個人も「やはりモノを言うのは現金」と痛感した人も多いはず。近年は老後資金のために投資に手を出す人も増えていたが「やはり現金は多めに持っておきたい。ひとり世帯なら生活費の3か月分、家族と暮らしているならば半年分の現金は、少なくても手元においておくべき」(黒田氏)だとか。  気象庁の発表によると、暖冬だった昨年とは違い、「冬らしい寒さ」になるといわれる今年の冬。家計にとっても厳しい冬となりそうだが、これらの方策を念頭になんとか乗り越えたいものだ……。 ファイナンシャル・プランナー 黒田尚子氏 CFP®、1級FP技能士。消費生活専門相談員資格。日本総合研究所に勤務後、’98年にFPとして独立。『50代からのお金のはなし』(プレジデント社)など著書多数 〈文・取材/アケミン〉
週刊SPA!をはじめエンタメからビジネスまで執筆。Twitter :@AkeMin_desu
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